G20では文言の調整で苦労している。けんか別れしないような当たり障りのない文言を採用するということで、会議の意義を見いだそうとする姿勢だ。誰でも受け入れられる文言だったら、わざわざ首脳を1カ所に呼び集めて、厳戒態勢のなかでお金をかけて話し合う意味があるのかどうか。
昨年はアメリカがコミュニケに合意しないとか、議長国が声明文をまとめきれなかったことが相次いだので、意見の集約が第一義になってしまっている観がある。そのうち現在のG7首脳会合と同じように、そのステータスが疑われるようになるのではないか。
そうしたG20の声明文で盛り上がるはずだった週末だったが、話題はすべて北朝鮮に持っていかれてしまった。土曜日にトランプ大統領が「板門店で会おう」とツイートしたからだ。
事務レベルも閣僚級の協議もすっ飛ばして首脳会談だけ開いても、大して成果が出るわけではない。詰めるべきアジェンダが明確になっていないからだ。それでも電撃的な米朝会談で世の中は大いに騒いだ。
双方ともに良好な関係と歴史的な意義を強調した。北朝鮮からすれば朝鮮半島まで米首脳を呼び出したという顔ができるし、トランプ側からすると呼び出しをかけたら24時間以内にせわしなく準備してヒョコヒョコ出てきたという「アメリカの強さ」を見せつけられる。絶妙なバランスの上でのパフォーマンスであったといえよう。
先週の金曜日はマーケットは基本的に小動きだったが、期待だけが高まる形でドル相場はやや全面高の形で終わった。ドル円も107円台の後半で終了。そして週明けのマーケットでは大きなリスクオンで始まった。
グローベックスではS&P先物など米国株が史上最高値を超えてスタートし、ドル円も108円台に乗せて始まった。海外メディアでは北朝鮮の電撃訪問は無意味だと酷評されているものが目立つが、今晩のニューヨーク勢の参入までちょっと流れが継続するかどうかを見極めたいところだ。
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