紆余曲折を経て、米中協議はまとまったようだ。部分的であるにしても「合意した」という事実だけで、市場は大いにリスクテークに励むこととなった。食料品を500億ドル買うことを決めたというが、これは貿易戦争する前よりも多いのか。追加完全をしないことに加えて既存の関税分も半分にするといっているが、それでは貿易交渉の前よりも高関税のままである。
いろいろな不備も見受けられる米中合意ではあったが、実際に合意できるのはこの辺までというのが現実的な見方でもある。国内の補助金のあり方や知的財産権の保護にまで踏み込むには、双方の妥協点のすりあわせが非常に困難で時間もかかるからである。
それをうけて昨日の米国株は大きく伸びて、史上最高値を更新した。貿易戦争の始まる直前の状況よりも関税は高いままで放置されるというのに、である。そして成果はとなると、たいへん疑わしいものがある。単に米中間での軋轢の材料は少なくなっただけというのが実情ではなかろうか。
ドル円はたしかに1円近く上がった。まずは昨日のニューヨーク序盤でトランプ大統領がツイッターで「合意は極めて近い」とつぶやいたからだ。そして日付の変わった頃にWSJで「既存の関税も最大で半分まで下げる」と報道されたことで、ドル円も109円台に乗せてきた。
さらにニューヨーク時間のランチタイムにブルンバーグで「合意は終了して、後は大統領の了解のみ」と報じられた。これで米国株は再度のラリーとなり、リスクテークが強まってドル円、ユーロ円が持ち上がった。
さらに今朝になってイギリスの総選挙の出口が出ると、予想通りながらも保守党が過半数を占めそうだということで、さらなるリスクテークにさらされている。これまでの不透明要因のいくつかがなくなったからでもある。ポンドが急騰し、ポンドドルは400ポイント近くも急上昇した。
保守党勝利は完全に織り込まれていると思われていたのだが、まだこんなに上げ余地があったのかと不思議に思われる。これも不透明要因の除去がリスクオンの理由であって、EU離脱自体は明白なポンド売り要因であることに違いはない。
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