昨日もニューヨークオープン前はマーケット全体がリスクテークに夢中になっていた。アメリカが中国便の停止に出るだろうといった観測記事が出たときにはあまり反応しなかったのに、政府がそれを否定すると株価は急上昇するのである。この1週間で下がった株価を押し支える動きに出るのだ。
それに連動してドル円やユーロ円も下値をサポートされている。ドル円は109円ちょうどをはさんだ動きに徹しており、ユーロ円はこの騒動の中でも不思議と落ちきらない。120円を割り込むことがあっても、119.90あたりまでで止められてしまう。それゆえそのポイントがクロス円のテクニカルな下支えとなってしまっている。
FOMCでは期待感がなかっただけあって、マーケットは大きな動きをしなかった。ややドル安が進行したように見えるのも、声明文の中で個人消費の表現をやや軟化されたからだ。これまで「好調」としていたものを、「ゆるやかな伸び」にダウングレードしたのだ。
しかしこれは事前に想定されていたことである。注目の集まらないFOMCにおいて、経済指標にしたがって消費部分だけを引き下げるのでないかというものであった。そうした観測もあってか、市場の反応は限定的だった。
しかし米中協議の進行で「予防的」利下げをしたのに、今回のウイルス問題は経過をじっくりと見てからと言っている。これこそ何が起こるかわからないのだから予防的に対策を講じないといけないところなのだが。
やはりトランプ大統領の意向に従った忖度だったと言われても仕方がないことをやってしまっている。これではますます市場との対話からは遠のいていくとしか言いようがない。
今晩の注目はアメリカのGDP速報値であるが、すでに第1四半期へのウイルスによる影響が心配されているところなので、あまり相場は反応したがらないかもしれない。古いデータだといって無視されるのである。またミクロ指標も経済活動に重要な部分が出てきて、UPSやアマゾンがある。
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