昨日も米国株は大幅高となり、市場におけるウイルス感染拡大に対する心配の量は減ってきたようだ。ECBも無制限の資産買い入れ介入をすると公言したし、パウエル議長も「なんでもやる」と言いはじめた。確かに失業保険の件数は今まで見たこともないくらいに悪くて300万件を超えるほどであったが、これとてもある程度は想定済みとされて悪材料とはされなかった。
そうなってくるとドル資金を手元に置いておこうといったドル資金手当のためのドル買いは需要がなくなってくる。もともとドルの大きな利下げ分を加味したらドルを売り込みたいところだ。それもあって昨日の為替相場ではドル相場が全面安となった。
ドル円も109円台まで下がってきたが、これとても最近のレンジの下限であるといってもよい。もう一段押しがあれば市場は安心感を得たのだろうと確信が持てる。ポンドドルも1.22台まで値を戻してくるなど、大底から1000ポイント近くも回復してきている。
ウイルスで問題はなくなったかどうかは私としても判断はつきかねるが、やはりファンダメンタルズにしたがってドルはどこかで売っておかないといけない。それでドル円を111円台で少しだけ売ってきたのだが、ポジション量は決して大きくはない。
だから109円台になっても焦って利食いの買い戻しをはかることはしないのだが、今日になってやっとドル円は108円台に突入してきた。しかもかなり一方的な下げ方となっている。107円台も見ることになったら、そこから通常のサイズで売り増ししようと考えている。
何度末を迎えてマーケットは忙しい。コロナウイルスもいよいよ感染が本格化してきて、アメリカですらも経済対策を打ってくるほどだ。3月末が会計年度末になるのは日本なのだから、日本の方が深刻だ。年金資金であるGPIFの運用状況も気になる。
ちょっとでも評価を上げるべく日銀のETF買いも激しさを増しているようだ。やればやるほど官製相場の様相の度合いが大きくなるのだが、そんなのはお構いなしだ。役人的には無謬性の原則に基づかないといけないので、目に見える形での失敗は許されない。
本当ならばウイルス感染絡みで補正予算も作ればいいのだが、本予算の成立を控えて、それができなくなっている。補正を組むくらいならば、今、協議している本予算を変えればいいではないかというのが野党からの要求だ。
本予算は政府提案を1円も変えないことが通例となっているので、本予算を修正することができないというのが与党側の建前。それで4月になってからでないと明確な救済案を口にできないというわけだ。これで国民のための政治と言えるのか。
東京都の外出自粛要請も、できることならば4月になってから出したかったことだろう。株価の下げ要因になることは、ちょっとでも4月以降に先延ばししたいはずだからだ。それを許さないくらいに感染状況は急を要しているのだ。
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