昨日は東京時間の午前中にナバロ補佐官の発言で市場は混乱した。「中国との交渉は終わった」と発言したのだ。ボルトン前補佐官の暴露本でもナーバスになっていたところだ。中国との交渉も単なるモーションでしかなかったのかと確認したカッコいうとなって、マーケットは大きくリスク回避へと向かった。
グローベックスでは激しく米国株が売り込まれ、それでも過去の値動きを参考にすると下げたりないといった感じ。しかし1時間ほどしてトランプ大統領からの否定のメッセージが伝わった。もちろん誰も言葉の額面通りに受け取る気にはなれないところだが、そこから急激にリスク許容度が回復しだした。
米国株の急反発とともに、ドル円、ユーロ円も買い戻された。ドル円は107円台まで巻き返し、そのままステイ。私もドル円を突っ込み売りしていたのだが、107円ちょうどで損切りさせられることとなった。
夕方になると欧州での景況指数が良かったので、マーケットではますますリスクテーク。ドイツとイギリスの景況指数がメインのはずだったが、ドイツが出る15分前に出てきたフランスの景況指数に大きく反応したといえよう。欧州株は高値追いの形となって、米国株も一段高。欧州の景況感が良いのは想定済みだったものか、このステージではドル円やユーロの上げは限定的だった。
ニューヨーク序盤ではドル円が失速。107円台は持ちこたえられなくなって、106.30辺りまで沈んだ。これはソフトバンクが2兆円ほどのドル資産の切り崩しを発表したからであり、それを意識した動きである。海外の会社を買収するというときは、すぐにドル買いも出ないのに市場ではドルが上がってしまう。
ちょうどそれとは反対の動きである。特に損失を抱える円資金の穴埋めに使うための手当だから、円転するのに時間はかけないはずだ。それが市場心理を動かしたのだろう。それはもっと前から報道されていたことではあったが、昼間の米中報道の混乱でドル円が上がってしまい、ちょっと意識の外に飛んでいたものと思われる。
アメリカの景況指数は予想を下回り、これももっと強いドル売り要因になるはずだったが、これでドル円が下がったのは20ポイントほどだけだった。むしろニューヨーク時間のライチタイム以降はドルの買い戻しが強まった。
今晩もドルの下値が気になるところだ。そのためには株価などが下落する局面が適しているのだが、それがなくてもドル円などは戻り売りで臨むべきだろう。
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