昨日の米国株は大きく切り返した。それはコロナ関連でやや楽観的なムードが拡がったことが大きい。ニューヨークでは規制が緩和されて、4分の1までならば店内での飲食も可能となった。
また前日に治験の中止を公表していたアストラゼネカ社のワクチン開発も、来週にも再度のテストに入るという。これで安くなったところで拾いたいと考えていた連中の買い意欲を刺激することとなった。
リスクの反転もあって、為替相場では円売りが優勢となった。ユーロ円は124円台の中盤まで差し込んでいたのに、それが125円台ミドルまで反発。値幅が小さいながらも、ドル円も堅調な地合いを維持した。
そもそもワクチン開発というのは、基礎研究の部類に属する。常日頃、何をしてきたのかが問われる国家をあげての総力戦の一面がある。そして実際にはエイズ・ウイルスもSARSウイルスも、いまだにワクチンは完成していない。
それなのに目前で必要だからと言って、そうにわかに製品化できるわけはないのである。戦争と同じで、そのうちワクチンが開発されるはずだという期待だけが先行している。ロシアや中国で国が承認したところで、そのワクチンが使いたくなるかどうかは、その国のこれまでにやってきたことによるのである。
それでもマーケットでは今しばらくはワクチン開発の動向によって振らされることになるのだろう。今晩はECBの金利会合がある。金融政策に変更はないだろうが、先週にも問題になった為替水準への言及があるかどうかが焦点である。1.20台まで進んだユーロドルの上昇は目先おさまっているが、ラガルド総裁の発言次第ではユーロ上昇に弾みがつく可能性もある。
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