昨日は為替相場ではドルの売り直しが進むこととなった。ドル円はどうしても104円台が重たくなってしまっていて、欧州時間までは値持ちがしたものの、ニューヨーク時間では103円台に滑り落ちて元に戻らない。ユーロドルも1.21台を割り込みそうなほど短期筋のポジション調整が進んでいたが、それも50ポイントほどではあるが、反発に転じた。
これにはパウエル議長の発言が一役買っている。雇用の回復は依然として遅いとし、インフレ率が明確に2%を越えてこないと利上げはしないと明言したからだ。またテイパリングについては議論するのは尚早であるとして一蹴している。これがドル金利の先高感を払拭したのだ。
市場に様子見ムードが漂っているのは、バイデン次期大統領による追加景気対策の中身を見てみたいという思惑からであった。昨年末まで選挙結果でもめているさなかにも、景気対策に関する議論は進んでいた。
それが部分的な合意ができたのは今年になってから。あくまでも直近で必要な部分だけを合意下に過ぎない。その残りの部分がどの程度まで打ち出されるのかが見たいポイントである。米国株が史上最高値圏で張り付いたまま値動きが乏しいのもそのためである。また上昇傾向が目立ってきた米長期金利も、やや動きの勢いに欠けるところがある。
そして実際に出てきた景気対策は1.9兆ドル規模のもので、これは予想されていた2兆ドル規模よりはやや下回る。1400ドルずつを国民全員に現金給付することとし、9月まで失業保険の給付を延長する。
これが発表されて以降のマーケットの動きは、今までのところ静かである。セル・ザ・ファクトにはなっていないが、かといってさらなるリスクテークは控えられているようである。
この消化具合を見極めるためにも、今晩のニューヨーク市場は大事だ。また金融大手の決算発表も始まる。注目点は株価の上値追いがあるかどうかだ。米国株が史上最高値を狙いにいくようであれば、今回の経済対策は評価されていることになるが、そうでない場合は再びドル金利の低下をもたらしそうだ。ドル金利の低下が鮮明になってくれば、ドル安の流れに簡単に戻るであろう。
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