雇用統計の結果は良いものであった。就業者数は37万人台の増加となって、事前の予想をはるかに上回った。失業率も6.2%と、予想よりも良かった。これだけだったら普通はリスクオンに素直に傾くところだ。
しかし昨今、懸念されている長期金利がどうなっているのかを確認しないといけない。長期金利の上昇は企業活動にとってはマイナス要因でしかないのだ。
その長期金利だが、雇用統計の発表直後に急上昇。10年ものの利回りは1.62%台まで上がったのだ。これを受けては株価も軟化を強いられる。また為替相場でもドル買いの勢いが強まった。ドル円もユーロドルも今年のドル最高値レベルまでドルが買い進まれた。ドル円は108.60あたりまで上昇し、ユーロドルは1.18台まで差し込んでいる。
しかし30分もすると長期金利の上昇はおさまり、むしろ発表直前の水準まで低下してきたのである。これを契機に株安・ドル高の流れは反転した。
ニューヨーク時間の午後には米上院で1.9兆ドルの追加予算の修正案が可決されて、それがリスクテークの勢いを強めることとなった。米国株は一段高し、長期金利の上昇もおさえられている。ドル相場は今年の高値水準で終えている。
今週もドルの高値探りの展開が続くものと思われる。株高に加えて、長期金利が高止まっているからだ。予期されたことだが、FEDのメンバーは誰もが口をそろえたように「現行の物価高はインフレではない」と発言している。これのニュアンスが変わってくることに要注意だ。ニューヨークでは映画館も再開したようだし、コロナワクチンの接種も進めば、別の見解が漏れ出てくるかもしれないからだ。
日本時間 15時30分
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)