FOMCを控えて為替相場ではドル相場が年初来の高値圏でステイすることとなった。大台だけ見ても、ユーロの1.18台やドル円の109円台というのは、今年のドル高水準である。これはコロナ前への生活の回復を織り込んだものであった。そのための巨大な財政支出も行っており、それが金融政策のタイトニングが早まるのではないかとの観測も強かったからである。
しかしFOMCでは総じてハト派的な内容に終わったようだ。2023年末までは利上げは行わないとし、また利上げのタイミングを議論するステージでもないとした。長期金利の上昇に対策が示されることはなかったが、テイパリングについて踏み込んだ議論もなかったようである。
緩和継続の確認を取れたということで、マーケットはリスクオンの状態に傾いた。米国株は史上最高値を更新してきて、ドルの長期金利も低下に向かった。ドル相場もドル売りに転じたが、値幅は大きいものではなかった。
テレビや新聞での記事では、FOMCでのアクションについて賛否両論となっている。うまくやったのか、市場との対話が取れていないのか、意見が分かれているのだ。FOMCが終わった後のマーケットの動きを見れば、無難に消化したともいえよう。
しかし市場の期待、すなわちタイトニングの議論を始めないと悪性のインフレが起こった場合に打つ手がなくなるよという警告は無視した形となっている。今回のFOMCの出来不出来はもうちょっと時間をかけて見ていくしかないだろう。今晩にでも再びドルの長期金利が高騰するかもしれないのだ。
そして今日から始まった日銀会合の政策点検が、明日出てくる。毎回、点検しながら金融政策を進めてきているはずだが、それをわざわざ点検するなどというのは、何も打つ手がない状態なのを正当化するためだけの官僚作文に終始してしまうだけの可能性も高い。ETF購入枠の見直しなどはすでに市場コンセンサスになっているものの、ふとしたきっかけで当局の思惑とは別に市場が勝手にリスク回避で動き出すかもしれない。
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