昨日はアジア時間の朝からマーケットではリスク回避が主流となった。先週の後半から週末にかけて、アメリカに関する外交の姿勢で強硬なものが目立ったからだ。中国とのアラスカでの会談は外交辞令を無視した形で、互いの不満足な点を述べ合うことになった。
ロシアのプーチン大統領が人殺し呼ばわりされたのを弁明するために、オンラインでの直接会談を申し込んだのにも米側は無反応である。またマネーロンダリングに絡んでの犯罪者引き渡しに関係して、マレーシアは北朝鮮と外交関係を絶つこととなった。
そうした国際関係の緊張がすぐに戦争などに直結するわけではないが、それでも不透明要因の増大ということで市場のリスク許容度は減退し、リスク性の高いものをポジションから外す動きが加速した。
一方で国内的にはルネサスの工場が火災にあったというのも、半導体不足に拍車をかける材料であった。先週の日銀の政策チェックから出てきたトピックス型への変換も、多少なりとも日本株の買いムードに水を差した格好となった。
また先週にトルコ中銀が予想を上回る幅の利上げを行ったせいで、それが政権の怒りを買って総裁が更迭されたというのもマーケットに混乱を与えた。政権側はコロナ感染もあり、もっと緩和しろと要求しているのに、反対に大幅な利上げをしたことに対する処置だ。金融当局としては世界的に進行しているインフレを懸念する方が重要だったのだろう。
3年前までの利上げモードのときもそうだったが、まずは弱いところからインフレに後押しされる形で利上げを強いられる。肝心のアメリカがなかなか利上げに転じないものだから、それが余計に事態を悪くする。この図式は今回も同様である。トルコリラは利上げしたにもかかわらず、政情不安のほうを嫌気して大幅安となった。
そうした中ではドル円もユーロドルもおとなしかったといえよう。波乱はなく、上下100ポイントも動いていない。
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