昨日のアメリカのCPIは、事前の予想を大きく上回った。インフレ懸念が増大してきた今週に入ってからの動きとしては、マーケットは過敏に反応した。ドルの長期金利はようやく上昇に向かったのを契機に、為替相場ではドルが上昇。米国株はそもそも足腰が弱っていたところに追加の一撃を加えられた格好となって、一段安を強いられた。
インフレ懸念の顕在化は重大である。問題はFRBの姿勢が依然として「物価高は一時的」だとしている点である。あくまでも金融政策のターゲットを雇用の回復にだけ焦点を当てているが、それが通じるのかどうか。
できるなら9月のFOMCまでは金融政策のスタンスを変えないで放置しようと目論んでいたようだが、それが早晩、許されなくなってきている。俗にいう市場の催促というやつだ。次の6月のFOMCにおいてすら何か明確なメッセージを求められる状況となりつつある。
そうした近い将来の動きの変化を感知したかのように、ドルは全面高となった。最近の値動きの小さい為替相場の中では、全面高でドルが100ポイント急の上げを演じることは実に珍しい。それだけ市場が受けたショックと将来の見通しの変更が大きかったと言えるだろう。
私もちょろちょろとドル円などを少し買ってはすぐに利食い売りに出したりしていたが、あまり危ない局面もなく、1日を終えることができた。私としてもFRBの主要メンバーのインフレに関する意見を早く聞きたいと思いはじめている。ともかく今晩もインフレ指標としてはより重要な米PPIが出るので、注目しておきたい。
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