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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」
バックナンバー

次にテーパリングに動くのは米国なのか?
材木相場続伸で、カナダドル/円は95円目標

2021年05月13日(木)16:33公開 [2021年05月13日(木)16:33更新]

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■今年のマーケットを確認。どの時間軸でも円売りが顕著に

 みなさん、こんにちは

 私のメルマガ「トレード戦略指令!」でもご質問をいただいているのですが、5月中旬現在での今年(2021年)の為替マーケットのテーマをまとめます。

 今、マーケットで注目されているテーマは以下の3点になります。

(1)BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])に続きテーパリング(※)に踏み切るところはどこだ?

(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

 ポストコロナで注目されているのは、主要国による金融緩和からの脱却。つまり、中央銀行のテーパリングとなります。このテーパリングにいち早く動いたのが、前回のコラムでご紹介させていただいたBOCです。

【参考記事】
テーパリング着手で上昇のカナダドルは、材木相場の急騰で、さらに買い妙味アリ?(5月6日、西原宏一)

 そのテーパリングに呼応し、カナダドルは今週(5月10日~)も続伸。カナダドル/円は、ついに90円台を回復しています。

カナダドル/円 日足
カナダドル/円 日足

(出所:IG証券

 また、テーパリングに次に動くのは米国ではないかとの見方が増えてきています。

(2)商品市場の活況で利するところはどこだ?

 商品市況が続伸しており、為替市場に影響を及ぼしています。

木材相場の上昇がカナダドル高要因に、鉄鉱石相場の急騰が豪ドル高要因になっています。

(3)新型コロナウイルスのワクチン供給がうまくいっているところはどこだ?

 英国のワクチン供給が順調に進んでおり、英ポンドの上昇要因となっています。

 これらの材料のうちのどれかが交互に注目され、通貨が動いている展開が続いています。

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■米CPIの結果を受けて、米ドル/円は109円台後半へ反発

 たとえば、3月に急進した米ドル/円ですが、4月以降は米国のテーパリングは時期尚早という意見が増えてきて、上値が重くなっていました。しかし、5月12日(水)に発表された米CPI(消費者物価指数)が上昇したことにより、センチメントが一変。

 米10年債利回りが再び1.70%に向けて上昇し、米ドル/円は109円台後半に反発。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(出所:IG証券

 材木相場の上昇でカナダドルが買われ、鉄鉱石相場の続伸で豪ドルが買われていましたが、ナスダック総合指数の急落によりユーロ/豪ドルが上昇、そして短期的には豪ドルが軟調に…

 また、英国で順調に進むワクチン供給により、英ポンドが値を上げていましたが、米CPIの結果を受けて、昨日(5月12日)は軟調でした。

英ポンド/米ドル 4時間足
英ポンド/米ドル 4時間足

(出所:IG証券

■テーパリングからもっとも遠い、日本円に注目

 こうしたテーマが入り乱れる中で、私が注目しているのが、中央銀行のテーパリングからもっとも遠い通貨となっている日本円

 そこで、円の動向をさまざまな時間軸でチェックしてみます。

 まず最初に、過去1年の主要通貨の対米ドル騰落率を見てみましょう。

対米ドル騰落率(過去1年間)

(出所:Bloombergのデータを参考にメルマガ部が作成)

 もっとも売られている通貨は日本円、買われている通貨は、前述のように資源国通貨であり、新規感染者がゼロである豪ドルやニュージーランドドルとなっています。

 そして以下は、年初来からの主要通貨の対米ドル騰落率です。

対米ドル騰落率(年初来)

(出所:Bloombergのデータを参考にメルマガ部が作成)

 対米ドルでは日本円が圧倒的に売られているのは同じで、カナダドルや英ポンドが前述のような要因で買われています。

 次の図は、今月(5月)の主要通貨の対米ドル騰落率です。

対米ドル騰落率(月初来)

(出所:Bloombergのデータを参考にメルマガ部が作成)

 日本円は変わらずもっとも売られている通貨であり、買われているのは英ポンド、カナダドルで変わらず。

 つまり過去1年間、いくつかの時間軸を切り取っても、もっとも売られている通貨は円であり、買われている通貨は資源国通貨であり、新型コロナウイルス対策がうまくいっている国であり、中央銀行がテーパリングに動く可能性が高い通貨であるといえます。

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■木材相場は堅調。カナダドル/円は95円に向けて続伸へ

 そこで、FXトレードにおいて、まずショート(売り)にするのは円として組み立てます。

 では、円をショートにするスタンスは決めましたが、次にどの通貨ペアを選択して円売りをするのがいいのかを確認してみます。

 以下は、前回のコラムの抜粋になります。

【参考記事】
テーパリング着手で上昇のカナダドルは、材木相場の急騰で、さらに買い妙味アリ?(5月6日、西原宏一)

 そこで、マーケットが注目したのが、BOCが先月(4月)21日(水)に公表した金融政策報告書で取り上げたコメントでした。

 その金融政策報告書によれば、米国の2021年成長率見通しを、1月時点の5.0%から7.0に大きく引き上げた模様。BOCは、米国経済分析(見通し)に定評があります。

 私の米国の友人も「米国の 4~6月期の成長率は約10%(前期比年率)ぐらいになるんじゃないのか?」と言っていました。

 新型コロナウイルスのワクチン接種も順調に進んでおり、次のテーパリングの可能性は米国のFRB(米連邦準備制度理事会)が浮上。

 米国のテーパリングによる米ドル高で、もっとも影響を受けそうなのは日本円。

 カナダドルは前述のように、BOCのテーパリング導入と商品相場の上昇により底堅く推移。結果、カナダドル/円が上昇する材料が整ってきています。

 今週(5月10日~)、オーストラリアのアセットマネジメントに勤める友人との会話の中でも上記のBOCによる米国経済の見通しが話題になり、BOCの米国経済の見通しは、多くの参加者が注目していることを再確認しました。

 一方、彼の意見では、オーストラリアと米国では、両国とも住宅価格などが高騰しており、インフレが進行していますが、米国のほうがインフレが顕在化するのが早いだろうとのこと。それの背景にあるのは、移民の流入です。

 現在、オーストラリアは新型コロナウイルスの影響で移民流入が激減していることから、景気は回復していますがインフレが強まるわけでもなくコントロールされているということです。

 この文脈においては、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])よりFRB(米連邦準備制度理事会)のほうがテ-パリングに動くのは早いといえ、BOCの次にテーパリングに動く可能性があるのは、FRBの公算が高まります。

 よって、米ドル/円は押し目買いを継続。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:IG証券

 BOCのテーパリングにより、カナダドルが堅調、そして次のテーパリングはFRBとなる可能性が高まっていることから、米ドル/円が堅調に。

 結果、カナダドル/円は続伸する可能性も高まります。

カナダドル/円 週足
カナダドル/円 週足

(出所:IG証券

 まとめると、現在の為替市場のテーマは、前述のように以下の3つとなります。

(1)カナダに続きテーパリングに入るところはどこだ?
(2)商品市場の活況で利するところはどこだ?
(3)ワクチン供給がうまくいっているところはどこだ?

 BOCとFRBの動向を反映し、木材相場も堅調であるカナダドル/円が続伸すると考えています。

95円に向けて続伸する、カナダドル/円に注目です。


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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」
西原宏一 (にしはら・こういち)

青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行に為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任した後、独立。現在はCKキャピタル代表取締役・CEO。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。近著に『30年勝ち続けたプロが教える シンプルFX』(扶桑社)がある。

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