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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

FRBのインフレ容認姿勢がより顕著に。
米ドル下降トレンド再開は時間の問題か

2021年05月12日(水)15:33公開 (2021年05月12日(水)15:33更新)
志摩力男

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■市場は「インフレ」に対して敏感になっている

インフレによって企業業績が押し下げられる。最近、聞いたことのない説明で米国株が下落しました。確かに商品市況は高騰し、賃金を上げないと人を雇えないという話も聞こえてきます。市場は長い間無視してきた「インフレ」に対して敏感になっているようです。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:TradingView

 ダラス連銀総裁であるカプラン氏は、このところ連日のように「テーパリング(※)の議論を始めるべきだ」とマスコミに語っています。彼は元ゴールドマン・サックスなので、市場の空気に敏感です。

(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

 しかし、FRB(米連邦準備制度理事会)の公式な見解は、インフレは一時的なものであり、早晩収まるというものです。

 本日(5月12日)発表となる、米CPI(消費者物価指数)の数字は注目されます。昨年(2020年)の4月から6月ぐらいまで、米CPIは新型コロナウイルスの影響で極端に低い数字が続きました。

 よって、ベースエフェクトにより、向こう数カ月の米CPIは年率だと非常に高い数字が続くことになります。ちなみに、本日(5月12日)の市場予想も年率3.6%と高めです。

 高い数字が数カ月続くことはわかっています。しかし、何回も3~4%程度の数字を見続けると、市場参加者の意識も変わるかもしれない……そういう思惑が働いています。

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■FRBの目線は、成長減速を見込む2022年以降にシフト

 では、パウエル議長はじめ、FRB理事たちは何を見ているのか。

3月FOMC参加者の米国経済見通し

(※筆者作成)

 FRBは、米国経済の見通しについて、2021年は6.5%という高成長を予想していますが、2022年以降は3.3%、2.2%、そして長期的には1.8%と、次第に成長は減速していきます。

 つまり、目線はすでに来年(2022年)以降になっており、成長が鈍化していくので、かんたんに金融引き締めには踏み出さないわけです。

 また、昨年(2020年)のジャクソンホールでは、以下のことを決定しました。

(1)FRBは成長と雇用、2つのマンデート(法的使命)を課されていましたが、今後より雇用の方を重視する。

(2)平均インフレ目標を打ち出し、一時的に高いインフレ率も許容する。

 あの時決めたことが、じわじわと今になって効いています。つまりFRBは、よりインフレを容認するようになっていますインフレ容認は米ドル安容認ということです。

写真はFRBのパウエル議長。FRBはよりインフレを容認するようになっている。インフレ容認は米ドル安容認というのが志摩さんの見解 (C)Bloomberg/Getty Images News

写真はFRBのパウエル議長。FRBはよりインフレを容認するようになっていて、「インフレ容認=米ドル安容認」というのが志摩さんの見解だ (C)Bloomberg/Getty Images News

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■時間の問題で、米ドルは下降トレンド再開へ

 我々は日本人なので、米ドル/円レートを中心に見ています。この数カ月起こったことは、米金利上昇による米ドル上昇です。

 しかし、ドルインデックスに注目すると、1月以降の米金利上昇に伴う米ドル上昇は、実は大したことはありません。時間の問題で、米ドルは下降トレンドを再開しそうです。

ドルインデックス 週足
ドルインデックス 週足

(出所:TradingView

 テーパリングが始まったカナダドルは、一気に上昇しました。市場は次のカナダドルを探しています。それは、おそらく英ポンドやユーロになりそうです。

【参考記事】
米国がテーパリングするなら、いつ頃? バイデン増税が始まれば、利上げは先か…(4月28日、志摩力男)
テーパリング開始決定で、カナダドル急騰! 米FRBも、早ければ夏ごろに示唆する可能性(4月22日、志摩力男)

 ワクチン接種で先行した英国は、まもなく経済が正常化します。ワクチン接種が遅れていた欧州も、まもなく追いつき、早晩、経済正常化するでしょう。

英ポンドやユーロに対して、米ドルが売られる可能性は高いと思います。

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 日足

(出所:TradingView

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足

(出所:TradingView

 一方、日本に関しては、新型コロナウイルス克服が遅れていることと、実際の被害以上に経済的なダメージが大きいことから、米ドル/円は大きくは動かないのではないかと思います。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradingView


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