■4月の米雇用統計は、驚くほど悪い結果に
5月7日(金)に発表された、米雇用統計のNFP(非農業部門雇用者数)は予想値97.8万人に対して、結果は26.6万人となりました。
驚くほど悪い数字となりました。
市場では良い数字が出るとの期待もあったため、サプライズとなり米ドルが急落しました。
米ドル/円は、108.33円まで下落。
(出所:IG証券)
ユーロ/米ドルは、1.2178ドルまで上昇しました。
(出所:IG証券)
カナダがテーパリング(※)を行い、次にテーパリングをするのは米国ではないか、と言われていましたが、その期待も後退しています。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
【参考記事】
●4月FOMCでのテーパリング示唆は見送りか。GWは海外勢の仕掛け的な円買いの可能性(4月27日、バカラ村)
ただ、来年(2022年)初旬にはテーパリングを開始するとの予想も多く、テーパリングを示唆するのは夏以降になる可能性が高そうです。
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■BOEは実質的なテーパリング示唆も、ベイリー総裁は否定
5月6日(水)は、英国のBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の政策会合とスコットランドの議会選挙がありました。
BOEの政策会合では、週間での国債買い入れを減速させることが示されました。
これは、テーパリングともいえますが、買い入れ枠は8950億ポンドで維持していることや、ベイリー総裁が「テーパリングではない」と否定したこともあり、6日の英ポンドは乱高下しただけで終わりました。
スコットランド議会選挙では、英国からの独立を支持しているSNP(スコットランド民族党)が64議席獲得しました。
ただ、過半数は65議席となるため、単独での過半数に1議席足りず、それを受けて英ポンドは上昇しました。
英ポンド/米ドルは2カ月間、1.37ドル~1.40ドルを中心としたレンジ相場が続いていましたが、スコットランド議会選挙やBOEの政策会合の実質的なテーパリング示唆を受けて、1.4157ドルまで上昇。
(出所:IG証券)
■英ポンド/米ドルは、今年高値トライが期待できそう
為替市場ではテーパリングがテーマとなっており、カナダはテーパリングしたことでカナダドル高が続いていますが、FRB(米連邦準備制度理事会)はテーパリング観測が後退しており、英国は実質的なテーパリングを行うことから、英ポンド/米ドルも上昇しやすい状況だと思います。
テクニカルからも、1.4000ドルがサポートとなるため、押し目があってもその水準までだと思います。
上方向では、今年(2021年)高値となる1.4237ドルをトライする動きが期待できると思います。
(出所:IG証券)
その水準がいったんの上値めどですが、そこを超えるようであれば、2018年のときにつけた1.4350ドル水準が重要なレジスタンスとなります。
1.4350ドルはダブルトップになっていることもあり、この水準を超えるには、しばらく時間がかかると思います。
(出所:IG証券)
今週(5月10日~)は、1.40ドルを下値めどとして、英ポンド/米ドルの押し目買いがいいのではないかと考えています。
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■ユーロ/米ドルは、1.2000ドル以下では底堅い
ユーロ/米ドルは、米雇用統計の弱い結果を受けて、現在は1.2160ドル付近で推移していますが、先週(5月3日~)は1.2000ドル以下では底堅い推移をしていました。
ECB(欧州中央銀行)は、6月にもPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)を縮小させるとの市場参加者の予想も出ています。
この期待もあり、FRBのテーパリング観測の後退もあって、ユーロ/米ドルも押し目買いでいいのではないかと考えています。
(出所:IG証券)
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