昨日はドルの長期金利がやや上昇に転じた。一部のアナリストが長期金利の下げの限界レベルについて言及したためだが、それによって為替相場ではドルが強ぶくんだ。ドル円は110円台まで簡単に上がってきた。値幅こそ小さいものの、ほとんど押し目の作らない上げ相場を演じた。
米国株が史上最高値の近くでウロウロしているため、リスクテークからのクロス円の買い戻しも入った。ユーロ円も133円台のミドルまで戻してきて、そのまま高値圏でステイしている。ユーロ円が強かったおかげで、ユーロドルの下げは限定的なものとなった。
しかしドル円の110円台というのは、ここ最近のレンジ内をはみ出していない。フレッシュ感がないのである。大台が変わったと言うだけで、とくに方向感が出てきたわけではない。110円台からロングにしていくのも苦しそうだし、やはりFOMCなどの大きな材料待ちということか。
さて、いよいよそのアメリカのFOMCである。そして注目点はテイパリングの議論を始めるのかどうかに集まっている。足下の経済回復は明らかで、主要都市での活動再開、ワクチン接種の進展などがあげられる。それを裏付けるように米国株は高い位置を維持しており、史上最高値をうかがっている。
それに対してFRBのメンバーの多くが雇用の回復が未達だとして緩和継続で一致していることが、マーケットの混乱材料となっているのだ。米国内の雇用の回復が芳しくないのは、9月までの失業保険の積み増し分のせいだとされている。働くよりも多くの収入を得られるからだ。この効果分を見極めるまでFRBが動かないというのならば、今回のFOMCだけに限らず、8月下旬のジャクソンホルでも目新しい見解は期待できないことになる。
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