米国議会下院は昨日、金融安定化法案を否決した。まず可決される見込みだったものが否決されたことで株は暴落。NYダウは前日比777.68ドル安と、史上最大の下げ幅を記録した。
為替相場もその影響を受け、揺れ動いている。
金融安定化法案否決を受けた為替の動きにはどんな特徴があったのか? また、為替はこれからどう動いていくのか? 『ザイFX!』でもおなじみの松田哲さんに聞いた。
■全世界がアゼンとした金融安定化法案の否決
「いや~、オドロキましたね~」
これが松田さんの第一声。マーケットで数々の修羅場をくぐり抜けてきた松田さんはたいていのことには驚かない——というのが記者のこれまでの印象だったが、さすがの松田さんでも驚いたのが今回の「否決」だったということだ。
「マスコミ全体が法案は通る見込みという論調でしたから、通らなかったのは予想外。全世界がアゼンという感じだったと思いますよ。ただ、金融安定化法案はモラルハザードもへったくれもない法案ですから、おお~、アメリカも大したもんじゃないかと実は僕は評価してもいるのですが…」
■ドル/円よりユーロ/円の下落率が大きいワケ
金融安定化法案否決を受けて、ドル/円やユーロ/円は下落した。昨日、高値107円近くをつけていたドル/円は本日、一時103.5円あたりまで下落している。また、昨日、高値155円をつけていたユーロ/円は本日、一時148円台後半まで下落している。
ドル/円は約3.5円の下落、ユーロ/円は約6.5円の下落。ユーロ/円の下落幅の方が大きい。もちろん、レートの絶対値がユーロ/円の方が大きいということはあるのだが、下落「幅」ではなく、下落「率」で考えても、ドル/円が約3.3%、ユーロ/円が約4.2%となり、ユーロ/円の下落率の方が大きくなっている。


今回の金融安定化法案否決は米国の危機であり、ドルの売り材料になるのではないのか? これが結局は全世界に影響を与えることになるとしてもである。それなのに、ユーロの下げの方がきついのはなぜなんだろう?
松田さんによると、そのことを考えるにはユーロ/ドルの動きを見るのがいいようだ。
「昨夜はたまたまマーケットを見てたんですよ。夜中の2時45分ぐらいにユーロ/ドルが跳ね上がったんで、何か発表があったと思ったんです。それが『否決』のニュースだったわけですが、上昇は続かず、ものの15分ぐらいで元に戻って、さらに下がっていきました」
ここで問題は、ユーロ/ドルが下がったということは、ユーロが売られ、ドルが買われたことを意味しているということだ。

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