「理屈で言うと、金融安定化法案否決はドル売りの材料。だけど、以前も書いたとおり、ユーロ/ドルは1.53~1.60ドルという高いゾーンで買って、つかまっている人がアップアップ状態にあるんですね。だから、ちょっと上がったら、売りたくてしょうがない人の売りが出てくるわけです。リスク回避の動きで、たまっていたユーロ買いのポジションが売りで出てくるのです。
ユーロ/ドルは金融安定化法案否決のニュースでは本来上昇しないといけないのに、そうした需給の問題があるから、下がっているわけですね。
ドル/円では『否決』のニュースに反応して、ドルが下がり、円が上がっている。ユーロ/ドルはそうした需給の問題があるので、『否決』のニュースにもかかわらず、ユーロがやや下がり、ドルがやや上がっている。ユーロ/円はドル/円とユーロ/ドルのかけ算になるので、一番大きく下がっている——こういう図式になります。
これはポンド/円にしても、オージー円(豪ドル/円)にしても同じです」
ドル/円よりもユーロ/円の下落が激しいことについて、松田さんの解説は以上のとおりだ。
では、今後の為替相場、松田さんの見通しはどうなのだろう?
■ドル/円もユーロ/円も豪ドル/円も、そしてユーロ/ドルも売り!
「全部売りですよ。ドル/円も売りだし、ユーロ/円も売り、オージードル(豪ドル/米ドル)もオージー円(豪ドル/円)も売りでしょう。そして、これは理屈には合わないんだけれど、需給面を考えるとユーロ/ドルも売りだと思います」
当コーナーでは松田さんに何度も取材しているが、8月22日の記事では、松田さんに聞いた話を以下のようにまとめている(「ユーロ/ドルでドル高が進んでいるが、松田さんの見解に変わりはないのか?(2)」参照)。
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松田さんの話をドル・円・ユーロの通貨ペアでまとめてみよう。
ユーロ/ドル → 下がる(ドル高)
ユーロ/円 → 下がる(円高)
ドル/円 → 下がる(円高)
ということになる。とにかく、なんでもかんでも下がりそう(?)という話なのだ。
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8月22日にユーロ/ドルは1.475~1.490ドルあたり、ユーロ/円は161.5~163円あたり、ドル/円は108~110円あたりにあった。実際、それ以降、どれもこれも下がる展開となっている。
8月22日以降、ユーロ/ドルは1.38ドル台の安値をつけたあと、少し戻して現在は1.43ドル台、ユーロ/円は147円台の安値をつけたあと、少し戻して現在は150円付近、ドル/円は103円台の安値をつけたあと、少しだけ戻して現在は105円付近となっている。
「8月22日のコメントを今回もそのまま流してもらってもいいぐらいなんですよ(笑)。実際、どれも下がったでしょう」
ユーロ/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
■いったんリバウンドしたとしても、結局は下がる
「本日はブッシュ大統領の演説があるそうです。また、金融安定化法案の修正案を10月2日(金)に成立させようという動きにもなっています。
そういったところで何か材料が出て、相場がいったんリバウンドする可能性はありますが、その後はドル/円にしても、クロス円(ドル以外の通貨と円の通貨ペア)にしても、たまっていたポジションのアンワインド(巻き戻し)が起こって、再び下がっていくと考えています」
(ザイFX!編集部・井口稔)
■いったんリバウンドしたとしても、結局は下がる
「本日はブッシュ大統領の演説があるそうです。また、金融安定化法案の修正案を10月2日(金)に成立させようという動きにもなっています。
そういったところで何か材料が出て、相場がいったんリバウンドする可能性はありますが、その後はドル/円にしても、クロス円(ドル以外の通貨と円の通貨ペア)にしても、たまっていたポジションのアンワインド(巻き戻し)が起こって、再び下がっていくと考えています」
(ザイFX!編集部・井口稔)
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