米ドル/円が上がってくれば、再度の介入に要注意!
米ドル/円は156円の手前まで上がってきました。
156円は為替介入後の戻り高値と、160円から152円割れまでの半値戻しが重なったポイントです。
(出所:TradingView)
介入は時間稼ぎに過ぎず、いずれまた円安へと向かうのでしょう。
ただ、今週(5月13日~)や再来週(5月20日~)に160円を超えてくるとは思いません。
上がってくれば、またどこかで介入が入る可能性は高いですが、どこで入るかはわからない。
神田財務官は非常に戦略的な人なので、入りそうなところではやらずに、「もう入らないのかな」と思わせてからやるのかもしれませんね。
神田財務官が「負ける介入」はしないはず
今回も、個人投資家のポジションまで調べ上げてから介入したとも聞きます。
介入前、売りへと大きく傾いていた日本の個人投資家ポジションはロングへ転じていますね。
IMM(国際通貨先物市場)の円売りポジションを見ると、海外勢もまだロングですね。
一時は18万枚まで拡大していましたが、日本時間土曜日(5月11日)に発表された数字では、13万枚まで縮小しています。
(詳しくはこちら → IMM通貨先物ポジション/経済指標・政策金利)
神田さんはあっさり負けるような介入はしないはずですが、2022年のように127円まで落ちるようなイメージはありません。
「びっくりするような円高」のリスクも
長期的な話になりますが、米国は9月にも利下げし、日本の金利は上がっていく。
さらに、米大統領選でトランプが勝てば「円安・米ドル高は大惨事だ」と言っていたくらいですから、米ドル安政策を進める可能性もあります。
だとすると、びっくりするくらいの円高になるシナリオだって捨てきれません。そのときは日本株も大惨事になるかもしれませんし。
先ほど話したトレーダーも同じような話をしていました。
優秀なトレーダーほど、そんなシナリオを描き始めているのかもしれません。
西原さんはまだ円安が進む、と考えているんですか?
米ドル/円のチャートはトップアウトしたように見えますが、しばらく150円から157円程度でのレンジとなるのかもしれません。
利下げしたところで日米金利差は健在ですし、日本のデジタル赤字などは今後も円安材料として残ります。円高がトレンドになるのは難しいのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
5月15日の米CPI&米小売売上高が焦点
米長期金利(米10年債利回り)が低下し、米ドル安がトレンドになるようだと、米ドル/円が152円を割っていく可能性もありますね。
その意味で注目されるのが、5月15日(水)に発表される米CPI(消費者物価指数)と米小売売上高です。
2%へのラスト1マイルが遠い米CPIがどうなっているか、注目ですね。
これが鈍化しているようだと、米金利も下がりますし、小売にしても米国の家計では、コロナ禍で積み上がった余剰貯蓄が枯渇した、なんて話が出ています。
経済指標が悪化しているようだと、介入がなくとも下落するかもしれませんし、反対に強い数字が出るようだと、156円を超えてくるかもしれません。
ただ、上値は160円から152円割れまでの61.8%戻し、157円がレジスタンスとなります。ここを超えてくるのは難しそうです。
(出所:TradingView)
米ドル/円は152~157円のレンジを想定。短期なら売りでいいが、レンジ下限付近では本腰で買い
市場ではレパトリ減税も話題ですね。6月に発表される「骨太の方針」に盛り込まれる方針とも報じられています。
円高材料ではありますが、実際に実需へ影響を及ぼすのはまだ先の話ですし、アナウンスメント効果にしても、市場はあまり反応していません。
いずれにせよ介入後の大相場はひと段落しましたし、今週は152円から156、157円でのレンジではないかと思います。
大相場のあとは、得てしてボラティリティが死にますから、下手すれば155円台でずっと停滞することだってあり得ます。
今週の戦略はどう考えますか?
レンジを前提にして軽めにトレードするのがよいのでは。
だとすれば、156円のレジスタンス近くは売りのポイントですし、ここを超えても61.8%戻しの157円がレジスタンスとなります。
短期トレードなら売り目線でいいと思いますし、米CPIなどで米金利が下げていくようなら、スイングのポジションに転換してもいいでしょう。
ただ、目線はあくまでも上。本腰を入れてトレードするなら、レンジの下限付近で下げたところを買っていきたいですね。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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