日米ともに株価は上下動が激しくて、1日での値幅もそれなりにあるのに、ボラティリティはまったく上がっていかない。それだけオプションが必要以上に買われていないという証拠でもあるが、それはすなわちダウンサイドリスクを身をもって感じていないということである。史上最高値を連日のように更新している間も根拠なき上値追いかと思われたが、安値攻めのときも妙な安心感だけが目立っている。
債務上限の引き上げが12月まで暫定的に合意したということで、目先の不透明要因の一つが払拭された。またコロナ感染も世界規模で減少しているので、こちらもマーケットを揺さぶることはない。後はテイパリングに向けての金融政策の動向だけが気がかりとなっている。しかし11月テイパリング開始はほぼ既定路線となっており、ドルの長期金利は大きくは動かなくなっている。
ボラティリティが上がらないのは為替相場でも同じである。それを通り越して金融商品としての魅力が減退してきて、そちらの方が問題になりそうだ。大きく動く前の静けささろうとのんきなことも言ってはいられない。ここ1年で私もなかなか手を出す機会が少なくなってきたと感じているのも事実だ。
そして今晩は失業保険の上澄みがなくなった後の、待ちに待った雇用統計である。当初に期待されたほどの雇用の回復にはつながらなさそうだ。労働力の逼迫が問題にされており、労働力不足はとくにサービス部門において顕著だ。募集しても来ないのだから、これ以上の雇用の回復には寄与しないということだ。
昨日までマーケットはリスクテークが続いている。こういった環境下ではリスクオフに向かいやすい。雇用統計では40万人から50万人の増加が見込まれているが、これを下回ったら、ドル売りのタイミングを与えることになるのではないだろうか。ドルロングもほどよく溜まっていることだし。ユーロドルなんかは1.17台まで戻してもおかしくはない。
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