為替市場では、米ドル全面高の様相が強まっている。ドルインデックスは82.24まで直近高値を更新し続けており、昨年5月以来の水準だ。
当然のように、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルは昨年5月以来の安値を記録しているが、米ドル全面高の根拠として、米ドル/円が大幅に切り返してきていることも見逃せないだろう。
■米ドル/円に変化の兆し。上値余地が広がってきた
一時、ユーロ/円が昨年2月以来、英ポンド/円が昨年3月以来の安値を更新したが、これはユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルの下落はもちろん、米ドル/円が軟調に推移したことも大きく影響したと言えそうだ。
言い換えれば、ユーロ/米ドルの下げがユーロ/円の下げを引き起し、ユーロ安が円高の圧力と化して、米ドル/円のアタマを押さえ込んでいたという構図があったとも言えるだろう。
今まで、米ドル高と言えば、対ユーロ、対英ポンド、対スイスフラン、対加ドルといった外貨サイドの話であって、対円ではむしろ、米ドル安/円高気味になっていた。
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場の下げと相まって、円高圧力が高まり、米ドル/円がさらに下値をトライするのではないかと、危機さえ感じていたほどだ。
だが、最近になって、このような構図に変化の兆しがうかがえる。
下の図が示しているように、米ドル/円は2007年高値と2008年8月高値を結んだレジスタンスラインを上にブレイクし、上値追いとなりそうなムードが高まりつつある。
本質的には、時間差はあるものの、米ドル/円はドルインデックスの後を追うかたちで上昇してくる可能性が考えられる。
下のチャートを見てわかるように、米ドル/円はドルインデックスとの連動性が高い。
(出所:米国FXCM)
今後、米ドル/円はドルインデックス同様に、上値余地が広がるだろう。
■米ドル/円がこの先、100円をトライする!?
それでは、米ドル/円の上値メドはどのあたりと考えればよいだろうか?
この点については、いろいろと難しいことを考えずに、2007年高値からの全下落幅に対する38.2%戻しに当たる、節目の100円近辺とするのが妥当であろう。最初に示した週足チャートをご確認いただきたい。
また、足元のような為替相場の展開については、筆者は、シナリオの1つとして想定していた。
昨年12月24日のコラムにおいて、上値メドも示していたので、サプライズではないと言えよう(「2010年最大のイベントは米国の利上げ!米ドル/円の上値は重く、かなりの波乱も!!」を参照)。
今後、米ドル/円はドルインデックス同様に、上値余地が広がるだろう。
■米ドル/円がこの先、100円をトライする!?
それでは、米ドル/円の上値メドはどのあたりと考えればよいだろうか?
この点については、いろいろと難しいことを考えずに、2007年高値からの全下落幅に対する38.2%戻しに当たる、節目の100円近辺とするのが妥当であろう。最初に示した週足チャートをご確認いただきたい。
また、足元のような為替相場の展開については、筆者は、シナリオの1つとして想定していた。
昨年12月24日のコラムにおいて、上値メドも示していたので、サプライズではないと言えよう(「2010年最大のイベントは米国の利上げ!米ドル/円の上値は重く、かなりの波乱も!!」を参照)。
その上、昨年末時点では、ユーロの急落を想定した市場参加者は少なかったためにユーロが急落しているのと同様に、つい最近まで米ドル/円の上昇を想定していた市場参加者が少なかったので、米ドル/円はスピードを伴って上昇幅を拡大する可能性さえあると見ている。
この理屈やカラクリに関しては、このコラムでも繰り返し説明してきたので、ここでは省略するが、基本的には、このコラムの第1回で解説していた仕組みと同じだ(「口々に円高予想が語られているが、今円を買うのは悪い円買いになる可能性」を参照)。
参考までに、ご一読いただきたい。
■ユーロ/米ドルはどこまで下がるのか?
ところで、ギリシャ支援に関して、EU(欧州連合)内部の足並みの乱れや各国の思惑の相違とあつれきが表面化し、ユーロ/米ドルが1.33ドルを割り込む場面も見られた。
これには、財政懸念がある「PIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)」の順番落ちのような、ポルトガルのソブリン(国債、政府機関債など)格下げも影響しているのだろう。
筆者は昨年末に、ユーロ/米ドルの下値目標を1.3200ドルと示したが、これを超えるようなユーロ安の進行も警戒せざるを得なくなってきた。
だが、ユーロ/米ドルの下げがきつくても、1.3000ドル近辺では下落が一服するのではないかと思っている。米ドル/円の上昇が続けば続くほど、そのシナリオが実現する可能性は高いと見ている。
この理屈やカラクリに関しては、このコラムでも繰り返し説明してきたので、ここでは省略するが、基本的には、このコラムの第1回で解説していた仕組みと同じだ(「口々に円高予想が語られているが、今円を買うのは悪い円買いになる可能性」を参照)。
参考までに、ご一読いただきたい。
■ユーロ/米ドルはどこまで下がるのか?
ところで、ギリシャ支援に関して、EU(欧州連合)内部の足並みの乱れや各国の思惑の相違とあつれきが表面化し、ユーロ/米ドルが1.33ドルを割り込む場面も見られた。
これには、財政懸念がある「PIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)」の順番落ちのような、ポルトガルのソブリン(国債、政府機関債など)格下げも影響しているのだろう。
筆者は昨年末に、ユーロ/米ドルの下値目標を1.3200ドルと示したが、これを超えるようなユーロ安の進行も警戒せざるを得なくなってきた。
だが、ユーロ/米ドルの下げがきつくても、1.3000ドル近辺では下落が一服するのではないかと思っている。米ドル/円の上昇が続けば続くほど、そのシナリオが実現する可能性は高いと見ている。
このように考える理由は、次のようなものだ。
米ドル/円が上昇する前提条件は、ドルインデックスのパフォーマンスに追随するのみならず、クロス円の影響が緩和されることも不可欠だということは、前述のとおり。
これをもとに考えれば、ユーロ/米ドルなど、円以外の外貨が対米ドルでさらに下げ幅を広げると、それとともにユーロ/円の下押しも強まっていくので、ユーロ安の代償としての円高圧力は高まる。
これに米ドル/円も連れ安するといった従来の構図に逆戻りする恐れがあるだろう。
また、仮に、米ドル/円が上昇し続ければ、それがクロス円相場が安定しているという条件下だとすると、その他の通貨に対しての米ドルの上昇スピードが緩み、おのずと上値余地は限られてゆくだろう。
言ってみれば、米ドル/円の上昇トレンドの継続が、ドルインデックスのブル(強気)基調を追認することになるため、上記のことを考慮すると、米ドル高は最終段階に近づいていると言える。
米ドル/円の切り返しは、米ドル高トレンドの転換可能性の試金石である。
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