雇用統計の結果は、就業者数の増加幅が19万人台におさまるなど、期待されたほどの回復度合いを見せなかった。失業保険の上澄みがなくなれば労働者が戻ってくると見ていたのが、やや違っているぞと言うことになった。そもそも労働市場は逼迫している様子だ。
雇用者数は伸びたくても、伸びる余地のほうがないと見るほうが正鵠をいているかもしれない。それを裏付けるように失業率は大きく改善して4.8%にまで下がってきた。そして労賃の上昇も懸念されているが、平均時給もプラス0.6%まで上がってきている。
市場の反応はファーストアクションでは株安・金利安・ドル安で動いた。しかし値動きが緩慢だったため、15分しか続かなかった。すぐに元のレベルまで戻ってきてしまい、最終的にはドル金利の上昇してきて、ドル円は2年半ぶりの112円台まで到達してニューヨーククローズを迎えている。転園ガスの供給で不安定になっているエネルギーも値上がりして、原油価格は一時的に80ドルの大台をつけ、7年ぶりの高値をつけている。
私はユーロドルのショートにしてドルロングを持ったのだが、ユーロドルはそれほども動かなかった。ドル円の伸びはほとんどすべてユーロ円の上げに吸収されてしまったようだ。
雇用統計において失業率が4.8%担ったことの方が、目先の意義は大きいだろう。これで今年の終盤でのテイパリング開始などのスケジュールは確実なものになったような気がする。ドルの短期金利先物も来年の12月までに1回分の利上げを100%織り込んでしまった格好にもなっている。
今後はこうしたタイトニングの予定が狂わされる材料のほうにマーケットは敏感になるだろう。今週はCPIやPPIなどインフレ指標や、小売売上高など消費を確認する指標が出る。タイトニングを遅らせるような結果だったら、ポジション調整も巻き込んだ激しい道理の展開が現出するかもしれない。
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