(「トレーダーとしての松本大を大解剖(2) 想定元本で約10兆円のポジション!」からつづく)
「僕は79円台でドルを買ったことがあるんですよ。
世界中探しても、79円台でドルを買ったことのある人はほんの一握りでしょう」
■1ドル=80円を割れた時、5億円分のドルを買った!
ドル/円が80円の大台を割れて、79円台に落ちたことは1949年に1ドル=360円となって以降、本記事を公開した2010年8月5日までの間に、たった1日しかない。
1995年4月19日。
このとき、ドル/円は79.75円の史上最安値(円の史上最高値)をつけたのだ(※)。松本氏によると、「80円を割れたのは30分とか1時間とか、それぐらいの短時間」だったとのこと。
(※正確には戦前および戦後すぐの時期のドル/円レートはもっと低かった)
「僕は79円台でドルを買ったことがあるんですよ。
世界中探しても、79円台でドルを買ったことのある人はほんの一握りでしょう」
■1ドル=80円を割れた時、5億円分のドルを買った!
ドル/円が80円の大台を割れて、79円台に落ちたことは1949年に1ドル=360円となって以降、本記事を公開した2010年8月5日までの間に、たった1日しかない。
1995年4月19日。
このとき、ドル/円は79.75円の史上最安値(円の史上最高値)をつけたのだ(※)。松本氏によると、「80円を割れたのは30分とか1時間とか、それぐらいの短時間」だったとのこと。
(※正確には戦前および戦後すぐの時期のドル/円レートはもっと低かった)

それは、おそらく相当大変な相場だったと想像するが、そんな時に、松本氏が80円割れで思い切った買いを決断できたのはなぜなのか?
「野生のカンですよ。野生のカンで買っちゃいました(笑)。気持ちよかったですね。
僕はまとめて買いたかったんだけど、そのときはマーケットが薄くて、あまりたくさんは買えませんでした。もう異常事態だったので、みんな怖くて、マーケットに入ってこないんですね。
僕が買えたのは5億円分くらいじゃないかな」
■新聞に書いてあることは本当か? と疑う姿勢が大事
松本氏は“野生のカン”と話してくれたが、それは何となく出てきた当てずっぽうのカンというものではないだろう。
緻密に論理的に積み重ねて出てきた決断ではなかったとしても、日々マーケットと向き合い、考えを重ねてきた中で、直感的にひらめいたものだったのではないだろうか。
このシリーズの第1回では「どんなニュースがいつ出たかということを松本氏がチャートに書き込んでいた」という話が出てきたが、そのような日々の積み重ねが、“歴史的と言える直感的なひらめき”につながったのではないだろうか。
そこで、個人トレーダーのみなさんの参考になるよう、今一度、「ニュースをチャートに書き込む」話について、松本氏に聞いてみよう。
「一般のトレーダーが実際に毎日、チャートへニュースを書き込んでいくのは大変かもしれませんが、相場がなんで動いたのか、解説記事を読むだけじゃなくて、自分で考えることはものすごく大切なことだと思うんですよ。
新聞を読んで何が起きたかを知ることは大して重要じゃないんです。だって、それは新聞を読んでるみんなが知っていることだから…。
『新聞にはこう書いてあるけど、この理由は本当だろうか?』と考えることが大切なんです。『だって、この前は同じ理由で相場が上がったのに、今回は下がってるぞ』とかね。
毎回、“勝手クイズ”を解くみたいな気持ちで、マーケットが動いた本当の理由を考えるクセをつけてみる。そうすると、今の環境でこのニュースが出れば、上がるぞとか、下がるぞといったことが、新聞の解説記事が出る前にパッとわかるようになると思います」
毎回、“勝手クイズ”を解く——これは相場のかなりいい勉強になりそうだ。

さらに、松本氏はこれに関連して、“縁石の酔っぱらい”のたとえ話をしてくれた。
■縁石の酔っぱらいは車道と歩道、どちらに倒れる?
「これはよく話すたとえなのですが、酔っぱらいが縁石の上を歩いていたとするでしょう。右に倒れると車道、左に倒れると歩道ですがバラがあって痛いとしましょう。
そうすると、この酔っぱらいは右と左、どちらに倒れるでしょうか?」
「100人中99人は車道側ではなく、バラが植わっている歩道側へ倒れるんですよ。これは倒れるときにいちいち考えてないですよね。
『左は歩道、右は車道、左に倒れれば痛いかもしれないけれど安全、でも右に倒れればクルマにひかれるかもしれない』とあらかじめ情報が入っていて、バランスを崩した瞬間、それがとっさの動きに表れるわけです。
そういうふうに常に情報を取って、考え方を身に染み込ませておくと、何か起きたときにどちらに動くか、反応しやすくなるのです」
■『メイク・マネー!』に出てくる“O氏”は僕のこと
ソロモン・ブラザーズを描いた『ライアーズ・ポーカー』(マイケル・ルイス著/パンローリング)という本がある。この本は欧米で100万部以上売れるベストセラーになった。
また、同じくソロモン・ブラザーズを描いた『メイク・マネー!』(末永徹著/文藝春秋)という本もある。
どちらもソロモン・ブラザーズに在籍していた人が、その内側を描いたとても面白い本なのだが、それらに描かれている年代は松本氏がソロモン・ブラザーズに在籍していた時と結構重なっている。
「『ライアーズ・ポーカー』を書いたマイケル・ルイスは最初に僕が配属された部署で1期上にいた人ですね。『メイク・マネー!』を書いた末永徹は僕と同期ですよ。
そして、『メイク・マネー!』の中に出てくる“O氏”というのは僕のことです」

■松本氏はソロモンで電話を投げつけていたのか?
記者にはどうしても聞きたいことがあった(特に大問題ではないのだが…)。それは松本氏が電話を投げつけていたかどうかということだ。
ソロモン・ブラザーズの1980年代はブイブイ言わせていた時代だったようで、その会長のグッド・フレンド氏は「ウォール街の帝王」と呼ばれるほどだった(その後、ソロモンは吸収合併され、名称も結局消滅してしまうのは、はかないが…)。
ただ、ソロモンは投資銀行の中ではどうも荒っぽい感じのところだったらしい。『ライアーズ・ポーカー』でも『メイク・マネー!』でもよく出てくるのが、気に入らないことがあるとトレーダーが電話を投げつけるという話なのだ。
松本大氏のどうみてもスマートなイメージからすると、とても想像できないのだが、やはり「郷に入れば郷に従え」で(?)、松本氏も当時は電話を投げつけていたのだろうか?
「僕は電話を投げたことはないです。それは時代もあるでしょうし、人にもよるでしょう。
電話を投げたことはないけれど、アメリカ人とケンカはしました。それはソロモンの時もゴールドマンの時もです。
こっちがものすごく忙しいときに、うるさく電話してくるヤツがいたので、“Fで始まる言葉”を言って、そのままバンって電話を切ったりね。
ケンカは手は出しませんけど、口ごもっちゃうと負けなので、なんか来たらバーンと“先制口撃”できないといけない。だから、出社前に自宅でシャワーを浴びながら、“Fで始まる言葉”を含めたケンカ用のセンテンスをつぶやいてイメトレしたりしてましたよ」

今の松本氏からは想像できない話だが…。やはり投資銀行というのは電話は投げつけなくても、激烈な環境にあるようだ。
では、ここで松本氏に為替の長期見通しを聞いてみよう。
(「トレーダーとしての松本大を大解剖(4) なぜ、ドルの底は抜けないと言えるのか?」へつづく)
(取材・文/ザイFX!編集部・井口稔 撮影/中野和志)
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