(「【09年予想】宮田直彦さんに聞く(2) ~エリオット波動の5波にあるドル/円~」からつづく)
■ドル/円は8年ごとに高値をつけている
宮田さんによると、長期のドル/円のサイクルには8年のものと5年のものがあるという。両者とも下のチャートで図示されているとおりだ。
「8年というのはドル高値をつけるサイクルにおよそ8年のものがあるということです。ただ、直近の1998年から2007年までのところは1年延びて9年近く経ってしまっていますが。サイクルは多少延びたり、縮んだりするものですからね。
この『8年周期』ということから、2007年にプラス8年した2015年ごろに次のドル高値をつけることが考えられます。これがどれぐらいのレートになるかということはここからはわかりませんが…」
では、5年サイクルとはどのようなものなのか?
■ドル/円の5年サイクルから次に安値をつける時期を読む
「こちらは残念ながら、安値から安値というふうにきれいに当てはまるものではないのですが、だいたい5年ごとにドル/円は重要な転機を迎えてきたと言えます。
ただ、過去2回の5年サイクルはどちらも安値から安値となっています。前回の安値が2005年1月ですから、きっちり5年で来れば、次の安値は2010年1月ということになります。
そこから見ても、少なくとも今年いっぱいぐらいは基本的には円高の期間だろうと見ているのです。そして、その先までは現段階ではハッキリしたことは言えませんが、先ほどお話しした2015年までドル高円安が続くのかもしれないと考えています」
■日米長期金利差拡大により一時的にドル高が進むか
ここまで大きなドル/円の波動、サイクルを見てきた。今年年末から来年はじめぐらいまでは基本的に円高の期間という宮田さんの見解だが、実は短期的には円安へ戻していくかもしれないとのこと。
「米国の長期金利は昨年末に2%すれすれのところまで急落しまして、そこから最近は上がってきました。下は米国長期金利のチャートですが、昨年末の急落で1986年からひっぱったサポートラインにちょうど到達した形になっているんですね」
「また、米国の長期金利の谷はほぼ5~6年サイクルでつけてきた経緯があります。ですから、このサイクルから見て米国の長期金利はこれから上昇していきやすいと考えています。
一方、日本の長期金利のチャートは上昇してくる可能性が低いように思えます。となると、日米の長期金利差が拡大する方向に向かうと考えられ、そうすると、外債投資などが少し戻ってきてドル高円安に戻るかなと思えるのです」
「もちろん、その一方で米国の財政悪化懸念によってドルが売られるリスクはあります。それと日米金利差拡大によるドル買いとの綱引きになるわけですが、一時的にドル買い円売りに傾く可能性は考えておいた方がいいと思っています。
ドル高円安になった場合の上値は105円ぐらいでしょうか。すでにお話しした以前の三角保ち合いのサポートラインを延ばしたところが110円ぐらいになりますが、そこまで戻すのは難しいと思いますので、少し割り引いた感じのレートが105円です」(「【09年予想】宮田直彦さんに聞く(2) ~エリオット波動の5波にあるドル/円~」参照)
宮田さんは今年年末~来年はじめにドル/円は下がると見ているわけだが、今すぐどんどん安くなっていくのではなく、いったん戻す可能性ありということなのだ。
ドル高円安になった場合の上値は105円ぐらいでしょうか。すでにお話しした以前の三角保ち合いのサポートラインを延ばしたところが110円ぐらいになりますが、そこまで戻すのは難しいと思いますので、少し割り引いた感じのレートが105円です」(「【09年予想】宮田直彦さんに聞く(2) ~エリオット波動の5波にあるドル/円~」参照)
宮田さんは今年年末~来年はじめにドル/円は下がると見ているわけだが、今すぐどんどん安くなっていくのではなく、いったん戻す可能性ありということなのだ。
ドル/円 週足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
■ドル/円の70円台突入はチャート的には必然!?
では、下がった時のドル/円の下値を宮田さんはどう見ているのか? 以下は前ページなどでも掲載したチャートの再掲だが、今はエリオット波動の5波にあたるというのが宮田さんの見解だった。
■ドル/円の70円台突入はチャート的には必然!?
では、下がった時のドル/円の下値を宮田さんはどう見ているのか? 以下は前ページなどでも掲載したチャートの再掲だが、今はエリオット波動の5波にあたるというのが宮田さんの見解だった。
5波というのは当然、1~5波の中の最後の波であり、最後になるためには3波で作った安値を更新するはずである。すなわち、1995年4月の安値79.75円を割れていくということだ。
「結局、チャート的にはドル/円が70円台の大台に突入することを考えざるを得ないのです。最終的にどこまで行くかは読み切れない部分があるのですが…」
■360をちょうど割り切れる数がカギとなるか?
「これはちょっと単純な見方になりますが、かつてドル/円が固定相場だった時のレート『360』をちょうど割り切れる数付近がドル/円では節目になりやすい傾向があります。360円の2分の1は180円、3分の1が120円、4分の1が90円といった具合です。
それぞれピッタリのレートが節目になってきたわけではありませんが、それに近いレートがこれまで節目となってきたのです。
そうすると、90円の次は360円の5分の1の72円が考えられるわけですね。なのでドル/円の下値は72円程度。大まかにいって、今から1年後ぐらいに70円台前半ぐらいになるのではないかと考えているんです」
(「【09年予想】宮田直彦さんに聞く(4) ~ユーロはもう一度下がる!~」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
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