(「吉田恒さんに聞く(2) ~今は円高局面の中休み~」からつづく)
前回はチャートを使って過去の円高局面と今回の円高局面を比較したが、今回は吉田さんが提供してくれた以下の資料で、もう少し細かく数字を比較してみよう。

■6月につけた108.59円でドルの反発は終了か
まず、円高が始まってから、円高第1幕が終了するまで。これは過去3回平均で119.6営業日かかっており、20.5%、ドルは下落している。
今回は昨年6月から今年3月までがこの円高第1幕にあたり、191営業日で21.4%のドル下落となっている。下落率は平均的で、営業日数は吉田さんが前回話していたとおり、平均よりも多い。
次に円高第1幕が終わってから、ドル反発がピークを迎えるまでだが、これは過去3回の平均が円高開始日から229営業日。ドルの下落率が平均11.1%まで戻ったところでピークを迎えている。
ざっと言えば、円高第1幕で20%下落したドルが半値までは戻してくるということだ。
また、円高第1幕の終了時点から数えれば、ドル反発のピークは平均109.4営業日後となる。
「1ヵ月はだいたい22営業日ですから、109営業日というと約5ヵ月。ただ、これは過去3回の平均で、早いときは3ヵ月でピークに達しています。つまり、円高第1幕で底を打ってから、3~5ヵ月程度でドルは反発局面のピークを迎えるというわけです。
今回は3月の95円台が円高第1幕の底。そこから3~5ヵ月ならば、今年の6~8月になりますね。
また、今回の円高は124円から始まって、第1幕は95円まで行きましたから、これの値幅がざっと30円。その半分は15円です。95円から半値戻すなら、95円に15円を足した110円ということになります。つまり、ドルの反発(=円高局面の中休み)は今年の6~8月に110円前後でピークを打つと予想されたわけです。
今回は6月につけた108.59円が直近高値となっています。ここですでにピークをつけたのか、もしくは7~8月に延長戦が残っているのかということになりますが…。僕は一応、もうピークを打ったと考えています」
3月にどこまで下がるんだ~~!? と思わせたドル/円はこれまでスルスルと108円付近まで値を戻してきたが、吉田さんの見解はここから再び、円高方向へ行くということだ。
■年内にドル/円は95円を割れる!
「ただ、円高方向へ行くといっても、すぐにドンドン下がるわけでもなさそうです。これも当然、過去のデータに基づいた予想です。
上の図に戻りましょう。過去3回の円高局面を調べると、ドルの反発がピークを迎えたのち、5%下がるまで、平均54.7営業日かかっています。約2ヵ月ということです。
今回は6月16日の高値が108.59円ですから、そこから5%下がると103円割れという計算になります。つまり、103円を割れるのが8月末以降になるだろうということです」
どうしても、円高というと急速に進む印象が強いが、過去のデータからいくと、今の局面の円高はジリジリ進みそうだということである。
そして、問題は円高第2幕だ。これを吉田さんは円高第1幕でつけたドルの安値を更新した時と定義している。今回で言えば、3月につけた95円を割れるのはいつか? ということだ。
米ドル/円 週足

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