昨年8月、為替も株も荒れに荒れた。特に8月17日、ドル/円は一時、前日比4円以上の下落、日経平均も前日比875円安と大きく下がったのである。「サブプライムショック」がいよいよ本格化し始めたのが昨年の夏相場だった。
昨年夏のドル/円は6月に124円の高値をつけると、そこから7月末までに5%下落し、8月中にはその下落率が10%まで拡大していた。
米ドル/円 週足
あの夏の暴落相場は今年も来るのだろうか?
「昨年と違って、今年の夏は為替の大波乱はないと思いますよ。なぜなら、アメリカ大統領選挙の年だから…」
と語るのはT&Cフィナンシャルリサーチ代表取締役社長の吉田恒さん。
吉田さんは立教大学卒業後、自由経済社(現T&Cフィナンシャルリサーチ)へ入社。財務省、日銀のほか、ワシントン、ニューヨークなど、内外にわたり、幅広く取材活動を展開してきた。FX会社や証券会社でのセミナーやレポート提供なども精力的に行っており、FXファンには、もうおなじみの存在だろう。
■アメリカ大統領選挙の年はドル/円が小動きになる
さて、その吉田さんが言う「アメリカ大統領選挙の年だから…」というのはいったいどういう意味なのか?
「過去のデータを見ると、アメリカ大統領選の年のドル/円は明らかに小動きなんです。下の棒グラフは過去20年間のドル/円の年間値幅をグラフ化したもの。黒いグラフが大統領選挙年、青いグラフがそれ以外の年になります」
「明らかに黒いグラフの方が短いでしょう? 大統領選挙の年は普通の年よりも相場が動かないんですよ」
上のグラフにもラインがひいてあるが、年間値幅、つまり、その年の高値と安値の差をとると、ドル/円は1年に平均で19.69円動いている。それが大統領選挙の年に限ると14.87円。通常よりも少なくなっているのだ。
だけど、大統領選挙の年に限って小動きになる理由はなんなのだろう?
「理由はいろいろ考えられますが、こういうことでしょうか。大統領選挙の年は政権交代もあり得るから、選挙が近づくにつれて、政策の転換などがしづらくなってきます。
為替相場は政策の転換や新しい政策の登場を手がかかりにして、売ったり、買ったりするわけですから、逆にそういうことがなければ、動かなくなります。つまり、選挙待ち、結果待ちという感じになって、動かなくなるのだと思います。
そして、”大統領選挙の年の小動き”を象徴するのが僕に言わせると”夏”なんです」
”大統領選挙の年は小動き”というのがまず第一。さらにその”夏”は超小動きらしいのである。
■アメリカ大統領選の年、特に夏は相場が動かない
「7~9月のドル/円の値幅を過去3回の大統領選挙の年について調べると、平均5.1円になっています(下表参照)。3ヵ月で約5円の値幅というのは小さいですよね。昨年の7~9月、ドル/円は約12円動いていますから…」
為替相場は政策の転換や新しい政策の登場を手がかかりにして、売ったり、買ったりするわけですから、逆にそういうことがなければ、動かなくなります。つまり、選挙待ち、結果待ちという感じになって、動かなくなるのだと思います。
そして、”大統領選挙の年の小動き”を象徴するのが僕に言わせると”夏”なんです」
”大統領選挙の年は小動き”というのがまず第一。さらにその”夏”は超小動きらしいのである。
■アメリカ大統領選の年、特に夏は相場が動かない
「7~9月のドル/円の値幅を過去3回の大統領選挙の年について調べると、平均5.1円になっています(下表参照)。3ヵ月で約5円の値幅というのは小さいですよね。昨年の7~9月、ドル/円は約12円動いていますから…」
「結局、大統領選挙の年は小動き、とりわけ、その夏は小動きというパターンになりやすいわけですから、今年は昨年と違って、相場はあまり動かないだろうと予測がつくわけです。
さらに7~9月の3ヵ月の値幅が平均で約5円というデータがあるわけですから、為替レートのレンジも予測できます」
■今年9月末までは102.98~108.70円のレンジか
今年7月になってからのドル/円は安値が103.70円ぐらい、高値が107.98円ぐらい。値幅を5円と考えれば、安値の目安は…
107.98円−5円=102.98円
ということになる。
また、高値の目安は…
103.70円+5円=108.70円
ということになる。
さらに7~9月の3ヵ月の値幅が平均で約5円というデータがあるわけですから、為替レートのレンジも予測できます」
■今年9月末までは102.98~108.70円のレンジか
今年7月になってからのドル/円は安値が103.70円ぐらい、高値が107.98円ぐらい。値幅を5円と考えれば、安値の目安は…
107.98円−5円=102.98円
ということになる。
また、高値の目安は…
103.70円+5円=108.70円
ということになる。
米ドル/円 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
「ドル/円の直近高値は6月につけた108.59円ですが、9月末まではこれを更新していくのは難しいでしょうし、かといって、大暴落が起きるわけでもない。最近のレンジっぽい相場がまだしばらく続くと考えています」
う~む、当面行ったり、来たりのハッキリしない相場が続くのだろうか?
「いやいや、それは9月までの話。それ以降は大きく動き始めると思っていますよ。
(「吉田恒さんに聞く(2) ~今は円高局面の中休み~ 」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
「ドル/円の直近高値は6月につけた108.59円ですが、9月末まではこれを更新していくのは難しいでしょうし、かといって、大暴落が起きるわけでもない。最近のレンジっぽい相場がまだしばらく続くと考えています」
う~む、当面行ったり、来たりのハッキリしない相場が続くのだろうか?
「いやいや、それは9月までの話。それ以降は大きく動き始めると思っていますよ。
(「吉田恒さんに聞く(2) ~今は円高局面の中休み~ 」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
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