(「ドルはどこまで下がるのか? (12)」からのつづき)
前回、野村さんの解説を記したとおり、2000年以降は中国の台頭とユーロの台頭によってドル安と円安が同時進行した時代だった。それを改めて実感するために、ここでやや珍しい為替チャートを見てみよう。
FXではデイトレもやるという野村さんだが、長いスパンのチャートも好きだという。野村さんが説明用に示してくれたのは年足チャートだった。
週足、月足まではよく見ても、年足は見ない人が多いのではないだろうか。記者も今まで年足はあまり見たことがなかった(そもそも、年足を表示できるチャートツールはそれほどないように思う)。
けれど、確かに年足チャートを見ると、シンプルに為替の大きな流れが実感しやすい。
■年足チャートで大きな流れを実感してみよう
まず、ユーロ/ドルの年足チャートを見てみよう。2000年に最安値を記録したあとはずっときれいな右肩上がりだ。ユーロがのし上がっていくと同時にドルが凋落していることがシンプルによくわかる。
(ちなみにこれ以下の年足チャートは「外為どっとコム」の提供。同社の「FX Voice」というツールを使うと、長期の年足チャートが表示できる。→「外為どっとコム」の詳細スペック)
ユーロ/米ドル 年足
では、ユーロ/円の年足チャートはどうだろう?
こちらも2000年以降、きれいな右肩上がりとなっている。
ユーロ/円 年足
他の通貨も見てみよう。オセアニア通貨はどうだろうか?
「豪ドル/円」(左)と「NZドル/円」(右)
「豪ドルやニュージーランドドルも同じですよ。どれを見ても円安が続いてきたわけです。だけど、ドル/円を見てください。行ったり、来たりで結局、大して動いてないんです」
なるほど、下のドル/円チャートは確かにこれまで見てきた右肩上がりのチャートとは明らかに違う。行ったり、来たりで方向感がない。ドル安と円安が同時進行していたわけだから、負け組通貨(?)同士の綱引きとなり、どちらか一方にトレンドが発生していないのだ。
年足チャートはこういう大きな流れをシンプルに鮮やかに映し出してくれる。
(「ドルはどこまで下がるのか? (14)」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
米ドル/円 年足
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