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田向宏行
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ドル・円・ユーロの明日はどっちだ!?


ドルはどこまで下がるのか? (12)

2008年05月21日(水)23:57公開 (2008年05月21日(水)23:57更新)
ザイFX!編集部

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 「ドルはどこまで下がるのか?」と題して、マット今井さん、松田哲さん、広瀬隆雄さんに今後の見通しを聞いてきたこのコーナー。今回は野村雅道さんに話を聞いた。

 野村さんは東京大学卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)へ入行。国際投資業務や外国為替ディーリング業務を担当したあと、外資系銀行へ転出し、BNPパリバ銀行など米欧の主要銀行で、チーフディーラー・外国為替部長などを歴任してきた。

 現在はFX湘南投資グループ代表であり、国際経済のコメンテイターとしてテレビ・ラジオ・新聞などで活躍している。また、いくつものFX会社へ為替レポートを提供しており、個人投資家のみなさんにもすっかりおなじみの存在だろう。

 ちなみに今回聞いた話だが、野村さんは外資系銀行で松田哲さんといっしょに働いていたことも一時期あったそうだ。
■米国の貿易赤字でドルはずっと安くなり続けてきた

 さて、本題。為替のことに話を移そう。野村さんは1970年代から今までの為替の流れを以下の3つに分けて整理するとわかりやすいと説く。

 (1)1973年からの米国貿易赤字による長期的なドル安
 (2)2000年以降のユーロ台頭、中国台頭によるドル安と円安
 (3)2007年夏以降のサブプライム問題によるドル全面安


 では、まず「(1)1973年からの米国貿易赤字による長期的なドル安」について、野村さんの話を聞いてみよう。

 「1973年から、ドルはずっと弱いんです。アジア通貨危機とかロシア通貨危機とかありましたが、アメリカはずっと通貨危機じゃないですか。1ドル=360円の固定相場制が終わったあと、ドルはずっと弱いですからね」
 戦後の為替はかなり長い間、固定相場制だった。それが1973年に変動相場制へ移行する。ドル/円は1ドル=360円の固定相場が長く続き、1ドル=308円の固定相場を挟んで、変動相場制へ移行した。

 「変動相場制に移行してからのドルはずっと安くなり続けています。アメリカはずっと貿易赤字だったから、ドルは下がるだけなんですよ。長期的に見て、この大きな流れは今後も変わらないでしょう」

 この時代、円はどうだったのか? 日本は目覚ましい経済成長を遂げていた時期で、円はドンドン強くなっていった。つまり、ドル安と同時に円高の時代だったのである。一番円高が進んだのは1995年。この年、円は1ドル=79円台の史上最高値を記録している。
米ドル/円の長期チャート

 しかし、その流れは変わったという。先に示した「(2)2000年以降のユーロ台頭、中国台頭によるドル安と円安」という時代に入っていくのだ。

■欧州ではユーロが誕生し、アジアでは中国の時代が始まった

 「1ドル=360円の時代から79円台までずっと続いてきた円高はもう終わっています。アジアでは日本の時代が終わり、中国の時代が始まったからです。中国は1992年ごろから本格的に市場経済へ舵を切ったのですが、さらにこの流れが本物になってきたのが2000年ごろからです」

 アジアにおける中国の台頭が相対的に日本の地位を押し下げ、円安の時代に入ったというのだ。そして、これに加えて、もう一つの重要なポイントがユーロの誕生である。

 「1999年にユーロが誕生。ユーロ圏の経済規模が大きくなり、ユーロが強くなってきたことで、アメリカの地位は相対的に弱くなってきました。ユーロはもう一つの基軸通貨になりそうな勢いですよね。これでドル安が進んだわけです」

「ドルはどこまで下がるのか? (13)」へつづく)

(ザイFX!編集部・井口稔)
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