(「吉田恒さんに聞く(7) ~株と為替の連動性はなぜ薄くなったのか?~」からつづく)
では、最後に原油価格と為替の関係について、吉田さんの話を聞いてみよう。
※ここで、一つお断りしなくてはいけないことがある。以下で吉田さんは「原油価格のバブルが破裂したら…」と話されているが、この「吉田恒さんに聞く」シリーズの取材は実は7月中旬に行ったもの。そして、実際、このところ、原油価格は大幅に下落し、ユーロ/ドルも下がるという状況になっている。以下の記事は、7月中旬の段階で吉田さんに聞いた今年後半~来年ぐらいのやや長期的な展望ということでご了解いただきたい。その後の相場状況を踏まえた吉田さんの最新の見解はまた何らかの形でお届けしたいと考えている(ザイFX!編集部)。
「原油価格は要注目だと思っています。原油価格のバブルが破裂したら…今もその兆候は出始めているようにも思えますが…先に話したシナリオは修正しないといけなくなるかもしれません」
吉田さんのシナリオは、「この秋、ユーロ/ドルがリードする形で、ドル安が再燃する。そして、それに引っ張られる形でドル/円でもドル安が進み、95円を割れる円高第2幕に突入していく」というものだった。
しかし、原油価格の動向によっては、このシナリオに修正が必要になるというのだ。
■原油価格が下がるとユーロ/ドルは下がる
「原油価格はよく言われているとおり、ユーロ/ドルとの相関性がとても高いです。だから、原油価格が急反落した場合、その時もユーロ/ドルとの相関性が続くのであれば、ユーロ/ドルは1.5割れになっていくという話になってきます。
先ほど、『スタグフレーション懸念によって止まらないドル安』という話をしましたよね。そのスタグフレーション懸念の中で、物価上昇の一番の主役となってきたのが止まらない原油高だったわけですから、それが崩れたら、ドル安にはならなくなると思われます」
そうなると、その時、ドル/円はどうなるのか? 原油価格が下落して、ユーロ/ドルでドル高になった場合、ドル/円もドル高方向に進むのだろうか?
「それほどドル高ってほどでもないでしょう。シナリオは全面改定ではなく、あくまで修正というイメージです。たとえば、ドル/円は大統領選挙前後の10~12月に95円を割れてくるというのがメインシナリオですが、それがもう少し先になるとかね」
ということは、仮にシナリオが修正された場合でも、いずれ95円を割れていくという吉田さんの読みに変わりはないのだろうか?
「そうですね。いずれにしても、95円は割れると思っています。
すでにお話ししたとおり、円高第2幕(=95円割れ)は普通のパターン分析だと、早くて今年10月、遅くて来年3月に到来すると考えられます。だから、原油反落の影響で、ドル/円での円高進行が来年春ぐらいまでずれ込むとしても、まだ、従来のパターンの範囲内なんですよ」
ということは、仮にシナリオが修正された場合でも、いずれ95円を割れていくという吉田さんの読みに変わりはないのだろうか?
「そうですね。いずれにしても、95円は割れると思っています。
すでにお話ししたとおり、円高第2幕(=95円割れ)は普通のパターン分析だと、早くて今年10月、遅くて来年3月に到来すると考えられます。だから、原油反落の影響で、ドル/円での円高進行が来年春ぐらいまでずれ込むとしても、まだ、従来のパターンの範囲内なんですよ」
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