鈴木さんは1990年に大和証券に入社。支店営業を経たのち、為替ディーラーに転身。最終的には為替のチーフディーラーを務めた。2000年に同社を退社したあとは、投資教育会社やFX会社の立ち上げに参加したのち、2003年に独立。現在はガンパウダー代表取締役として、為替情報配信やコンサルティング業務を行っている。

ザイFX!の読者のみなさんも、FX会社が配信するレポートやセミナーを通じて鈴木さんをご存じの方も多いだろう。
ちなみに現在、鈴木さんのレポートは外為どっとコム、ひまわり証券、FXプライム、JNB-FX(ジャパンネット銀行)に口座を開設すれば、読むことができる。
■鈴木流“テクノメンタルズ分析”とは?
さて、株でも為替でも相場の見方はファンダメンタルズ(分析)派とテクニカル(分析)派に大きく分かれるが、鈴木さんのスタンスはどうなのか?
「ボクの流儀は“テクノメンタルズ分析”。ファンダメンタルズもテクニカルも両方見ていきましょう、ということです。
大和証券で為替ディーラーになった時、為替は『国と国』の通貨の取引だからということで、まず最初は、ファンダメンタルズ分析を勉強しました。ところが、これが当たらない。トレードでは負けてしまうんです。
たとえば、今日発表される経済指標の数字が市場予想よりいいか、悪いか当てようなんてことをしても当たりませんよ。そんなの単なる数字の“当てっこ”ですからね(笑)。
そのうち、ファンダメンタルズ分析は中長期以上のスパンで投資する時に役立てるべきものと気づいたんです。
とはいえ、ディーラーは切った張ったと毎日取引しなくてはいけない立場。そこで、テクニカル分析を試してみると、勝てはしたんだけど、思ったほどは勝てなかったんです。
それはなぜだろう? と考えた時に、ファンダメンタルズが指し示す方向と逆のトレードをした時は勝率があまり良くないことに気づいたんですね。
それからは、ファンダメンタルズ分析が指し示す方向性とテクニカル分析が指し示す方向性が一致した時にトレードしようと意識するようになりました。これが“テクノメンタルズ分析”ということです」
■ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の比率
では、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析、どちらをどの程度の比率で重視するのがいいのだろうか?
「それはトレーダー各人のトレードスタイルによって異なると思うんですよ。先ほどお話ししたとおり、長い期間ポジションを持つ場合はファンダメンタルズ分析の重要性が高まります。
でも、たとえば、数秒とか数分で決済するような取引では、そのわずかな時間にファンダメンタルズの変化が入り込む確率はものすごく小さくなります。
これがもしも、数時間~数日程度の取引なら、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の比率は五分五分といったところでしょうか」
■今は円高ではなく、ドル安です!
直近ではやや持ち直しているものの、9月下旬以降、米ドル/円は90円を割れて、ドル安円高が進行していた。
さて、この米ドル/円、さらにユーロを絡めた今後の為替相場はどう動いていくのだろうか? そのカギになるものは何だと鈴木さんは考えているのか?
「まずはここまで動いてきた相場の状況をきちんと把握しましょう。今は『円高だ、円高だ』という話をよく聞くかもしれませんが、これは円高というよりも、ドル安といった方が正しいですね。
直近で米ドル/円は88~89円台まで下がりましたが、これは今年の1月21日につけた安値、87.13円にほぼ匹敵するレートです。
では、ユーロ/円はどうでしょうか? やはり、今年1月21日に112.10円という安値をつけていますが、今は135円近辺。20円以上も円安になっています。英ポンド/円や豪ドル/円も同じです。
こうなると、どこが円高なんですか? という感じです。繰り返しになりますが、今の状況は円高ではなくて、ドル安です」

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 週足)
■なぜ、ここまでドル安がズンズン進んだのか?
では、なぜここまでドル安は進んだのか?
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