インフレ懸念が顕在化してきて、米ドルの長期金利は徐々にではあるが、着実に上昇している。10年ものはついに2.78%レベルにまで達した。しかしまだ短期金利での上昇見込みには到達していない。もう少しは上がる余地が残っているというわけだ。
ドルの金利上昇によって、通貨としてのドル高も進んでおり、ドル円は125円台の後半まで買い進まれた。いうまでもなく年初来の高値でもあり、アベノミクスを通じても最高値圏である。円安の様相も強くて、ユーロ円は137.11まで上昇した。
インフレ懸念は米国株も直撃。オーストリアの首相がプーチンに会いに行ったのに、成果がなかったことが大きいようだ。戦争の長期化なども嫌気され、現在の世界秩序の枠組みでは打つ手がないものと思われた。大統領選の最中であるフランス株を除いては世界的に株価が下がった。
さて今夜はアメリカのCPIが出る。すでに予想はかなりの高めだ。それは当然であり、ウクライナ紛争が織り込まれて、原油価格の上昇や食料品の高騰が現われてくるのだ。しかし腰を据えた形で物価高となっているので、数字が大きくても小さくてもサプライズにはなりにくいだろう。
どのみち時間が経てば物価上昇率はもっとひどくなると考えられているからだ。そういうわけでCPIの結果をもってドルの長期金利の一段高は期しがたいかもしれない。ゆえに数字が出た後のドル相場の上昇も見込みが少ないものと思われる。
もしも狙うとしたら発表されるまでのドルの上昇だろう。それまではテクニカル的にもドル円は買いやすいレベルだし、ユーロドルも一段押しさえすれば突っ込み売りしていくべきところまで来ている。くれぐれも結果が出た後までも深追いすることは避けよう。
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