ジャクソンホールの講演前にこれだけドル金利相場が動いてしまうのは、ひとえにFRBが市場との対話を的確に行っていない証拠であろう。つい先週まで利上げ停止や利下げ議論まで出てきたのも、FRBが何を目論んでいるのか市場に通じていないのだ。
それで相場の方向が違う方に向かっていったら、以前ならば大きなイベントのある前に「そうじゃないよ」とマーケットを修正させる動きが主要メンバーの中からあったのである。それがまったくないためにマーケットは独りよがりもするし、早合点もする。その結果として疑心暗鬼になってしまい、昨今のような展開になってしまうのである。
さすがにジャクソンホールが近づいてきて、マーケットには様子見感が漂っている。株価も為替相場も前日のレンジを大きくはみ出していない。ドル円は137円ちょうどをはさんでの一進一退となった。137円台に乗せてくるとやや重くなり、136円台に入ると買い意欲がわいてくる。
動くに動けないといった感じだ。ユーロドルもまたしかりで、0.99台を脱しきれない。前日の値幅を完全にはらんでしまったかたちとなった。今日もますます狭いレンジ内に落ち着くかもしれない。
ドイツやイギリスの短期債がここにきてようやく利回りが上昇してきた。金融当局の意向よりも、足元で現実に起こっている労働逼迫や物価高のほうが目を潰れなくなってきているのだ。よそが上がるからという訳ではないが、これでアメリカの金利も上がりやすくなったというものだ。ドル金利の上昇の余地はまだありそうだから、それに合わせてドルを下がったところでは拾っておきたいところである。
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