ドル金利がまったく下がらないため、通貨としてのドル相場も堅調だ。ドル円は全く下がらずに150円台のほんのちょっと手前まで来てしまった。確かに為替介入の心配はあるものの、それはそれで出てきたときに対応すればいいという考えで、あまり効果は見込めないようだ。それだけスペック勢も安心感を持ってドルロングでスタンスを継続している。
ドルが一段高にならないのは、イギリスの混乱でポンドが元に戻ってきているからであろう。それに伴ってユーロも底堅く推移し、ドル安には歯止めがかかっている。しかしイギリスは大幅な財政支出を望んだはずなのに、そえがなくなったからといってポンドが買われるというのはなんとも皮肉なことだ。
バイデン大統領が石油戦略備蓄の放出を決定したが、これは中間選挙向けの政策であるのは明らか。これだけ物価高で生活苦が露わになってきているので、政府としても何かしないと行けないところだ。先日のOPECプラスの決定に不満の意向を漏らしたが、これはロシアも入っての協議だから仕方がない。しかしリベラル人権派が反対している中にサウジ訪問をしたバイデン大統領だったが、面目をつぶされた格好だ。
戦略備蓄の放出がどの程度までマーケット価格の下げに効いてくるのか未知数だ。しかも原油価格が70ドル台になったら買い戻して、再び備蓄を増やすと言っている。90ドル台や100ドル台は許せないのに、70ドル台ならば買うというのはあまりにも短絡的だ。政府のやることではない。言わずもがなことをしゃべっているので、政権のガバナンスも相当に緩んでいるとみなされそうだ。マーケットの逆襲が恐ろしい。
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