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西原宏一_メルマガ取材記事
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5200pips超獲得した「損小利大」米ドル/円トレードの
裏側を大公開!志摩力男が語る2022年の米ドル/円
トレードと2023年に向けての新たな戦略とは?

2022年12月21日(水)11:05公開 (2022年12月21日(水)11:05更新)
ザイ投資戦略メルマガ

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5200pips超獲得!志摩力男が2022年米ドル/円トレードを総括

 2022年を振り返ると「猛烈な勢いで円安が進んだ年」と言えるのではないか。

 年初115円程度だった米ドル/円は、その後、円安が急激に進むと10月末には152円に迫る水準まで上昇。政府・日銀が24年ぶりに円買い・米ドル売り介入を実施するほど警戒感が強まった。年初にここまでの急激な円安を予想していた人はどれほどいただろう。

 そんな中、この円安相場を見事的中させ、トレードでも爆益を叩き出したのが志摩力男さんだ。

 志摩さんはゴールドマン・サックス、ドイツ証券といった大手金融機関でプロップトレーダー(自己勘定トレーダー)を歴任した後、香港でマクロヘッジファンドマネージャーを務めるなど、為替の最前線で活躍してきたプロ中のプロ。現在は、ザイ投資戦略メルマガ「志摩力男のグローバルFXトレード!」で情報配信をしていて自身のトレード実績も公開している。

志摩力男プロフィール

 以下は、2022年に志摩さんがメルマガ「グローバルFXトレード!」で配信した米ドル/円トレードの実績をまとめた収益グラフだが、これを見ると合計で5200pips超える利益をあげている(12月6日時点)。

2022年の米ドル/円メルマガトレード実績
2022年の米ドル/円トレード実績(詳細データ)
2022年の米ドル/円トレード実績(詳細データ)

(2022年12月6日時点)

 しかも、志摩さんは円安が急激に進んでいる中で利益を積み上げただけでなく、政府・日銀が24年ぶりに円買い介入に踏み切った9月22日(木)以降、特に2回目の為替介入を行った10月21日(金)から、さらに利益を伸ばしている。

 もし志摩さんのメルマガ「グローバルFXトレード!」を参考に、志摩さんと同じようにトレードしていれば、急激な円安進行だけではなく、米ドル/円が大きく調整するというように、為替相場の動きが難しくなった政府・日銀の為替介入以降のマーケットでも良い結果を得ることができたわけだ。

 ちなみに志摩さんは、今年(2022年)のような急激な円安相場がくるのを2014年からずっと警戒していた。
【※関連記事はこちら!】
円の上昇力に陰り! アベノミクス開始時の予想どおりなら、将来米ドル/円は150円か(2021年2月4日、志摩力男)

 ここからは、志摩さんが爆益を叩き出した2022年の米ドル/円トレードについてもっと深くみていこう。

志摩力男のグローバルFXトレード!

2022年の米ドル/円は本当に良いマーケットだった。ウクライナ戦争開戦後、米ドル/円ロングで一気に利益拡大

 「2022年、特に米ドル/円は良いマーケットだったと思います。

 トランプ大統領が就任した2016年以降、米ドル/円は年間のレンジが9円というように動かない相場が続いていたのですが、こうしたボラティリティが高い相場は本当にやりやすかったです

2022年の米ドル/円は本当に良いマーケットだったと話す志摩さん。ボラティリティの高い相場はトレードがしやすいそうだ

2022年の米ドル/円は本当に良いマーケットだったと話す志摩さん。ボラティリティの高い相場はトレードがしやすいそうだ

 2022年の米ドル/円相場をこのように語り、ロング(買い)を基本戦略に臨んでいた志摩さんだが、手応えを感じたのはウクライナ戦争が始まり、リスクオフの円高からクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が下落する一方で、米ドル/円は売りが出ても下げなかった局面だったという。「これは反転(米ドル高・円安)するのではないか」と考えていたそうだ。

 志摩さんのメルマガで確認すると、ロシアの侵攻によりウクライナ戦争が始まった2月24日(木)以降、4月13日(水)まで一貫して米ドル/円ロング(買い)で臨んでいた。この期間、志摩さんの米ドル/円ロングの新規注文回数は15回、そのうち利益確定が13回、損切りはわずか2回だった。ウクライナ戦争が始まり、リスク回避の円高を予想する向きもある中で、米ドル/円をロングにしていたというのはいかに自信があったのかがうかがえる。

米ドル/円実績データ(2月24日~4月13日)

(出所:TradingView)

 たとえば、ウクライナ戦争開戦後、3月8日(火)に建てた米ドル/円のロングポジションのレートは115.65円だった。2022年の米ドル/円の始値が115円台だから、まだ明確な円安相場に入る前、ウクライナ戦争の開戦でどちらかといえばリスク回避の円高局面がきてもおかしくないタイミングだったにも関わらず米ドル/円をロングで仕掛けていたということだ。そのポジションは、以下のメールにあるように、230pips(2.30円)の利益を確定して決済している。

志摩力男のグローバルFXトレード!
2022年3月15日(火)17:21の配信メール
ドル円が急落しました。 こうした早い下げは、いったんの調整を示唆することも多いので、ドル円のポジションをクローズします。 USDJPY +0.5@115.65  ⇒クローズ@117.95

 このメルマガを見ると、米ドル/円はロングで臨んでいるが、相場の状況を見極めて深追いはせずに、冷静に判断してポジションを決済している。

損切りするときはスパッと切る!苦しいトレードが続くときこそ切り替えが大事。ロスカット幅拡大、両建てはおすすめできない

 このように急激な円安相場に乗り、冷静沈着なトレードで利益を積み上げた志摩さんだが、収益グラフをご覧いただくとわかるように、6月上旬から8月にかけて苦しいトレードが続いていたことがわかる。

2022年の米ドル/円メルマガトレード実績

 志摩さんはこの状況を振り返り、「6月~7月にかけては悔しいストップロスがついた局面がいくつかありました」と話すが、その一方で、ストップロスについては、FXトレーダーがやってしまうことが多い、最初に決めた損切り水準を拡げるというようなことは極力しない方が良いという。

 「巨大ヘッジファンドも底値でロスカット(損切り)したりします。

思い切って損切りできないならトレードはしない方が良い。損切りするときは腹を決めることが大切です。みなさんにはこうしたことも伝えていきたいです。

 あと、個人投資家のみなさんから両建てについて聞かれることもあるのですが、これもやらない方がいいでしょう

損切りするときは思い切ってすることが大切だと話す志摩さん。両建てについても聞かれることがあるというが、これもやらない方がいいそうだ

損切りするときは思い切ってすることが大切だと話す志摩さん。両建てについても聞かれることがあるというが、これもやらない方がいいそうだ

 確かに、収益グラフを見ると6月~8月にかけて利益を減らしてはいるものの、損切り幅を見ると、200pips以内にすべて収まっている。志摩さんいわく、「損切り幅については、リーズナブルな水準で切るように調整している」という。

2022年の米ドル/円メルマガトレード実績

 大小問わずストップロスがついてしまうのは辛いもの。しばらく落ち込んで引きずってしまうことだってありそうだが、損失を最小限に抑えて利益を最大限にする損小利大トレードは志摩さんの真骨頂だ。

志摩力男のグローバルFXトレード!

政府・日銀の24年ぶり円買い介入、絶妙なドテンで大きく利益を積み上げていた

 さて、冒頭でも紹介したとおり、今年(2022年)の米ドル/円相場では円安が急激に進み、政府・日銀が24年ぶりの円買い介入に踏み切った。

 FRB(米連邦準備制度理事会)をはじめ主要各国の中央銀行が金融引き締めに舵を切る中で、一貫して大規模な金融緩和政策を継続してきた日銀による円買い介入だっただけに、そのインパクトは大きかった。

 そうした中、志摩さんも9月22日(木)の介入時は対応に苦慮したようだ。

 「最初の為替介入は意外というか、金額が小さくてインパクトに乏しかった。

 結果的に1回目と2回目で合計9兆円以上なので大きくなりましたが、最初から大規模介入をすると考えていました。ただ、それは相場変動のボラティリティを抑えるという、米国のイエレン財務長官との約束事があったので、そうなったんだと思います。

 為替介入のやり方は、マーケット状況、財務官の意向、国際関係によって変わってくるので、どのような介入をするのか見極める必要があり、トレードも慎重にならざるを得なかった

政府・日銀の最初の介入はうまく対応できなかったと話す志摩さん。為替介入のやり方は状況によって変わるので、しっかり見極める必要があったという

政府・日銀の最初の介入はうまく対応できなかったと話す志摩さん。為替介入のやり方は状況によって変わるので、しっかり見極める必要があったという

 その後、10月21日(金)の2回目の為替介入の際はしっかり利益を積み上げているのだが、どのようなトレードをしていたのか追ってみた。

 実際に政府・日銀の2回目の為替介入が入ったのは10月21日(金)23時台だったが、志摩さんはその直前の22時ごろまでは、当日の夕方から夜にかけて150円台半ばから後半にかけて建てていた米ドル/円のロングポジションを持っていた。

 もしこの状況で、政府・日銀の円買い介入が入っていたら、大きく損失を抱えていたことになる。

 しかし志摩さんはその日の22時ごろにすべての米ドル/円のロングポジションを決済し利確すると、すぐにショートポジションを建てている。いわゆる「ドテン」(※)だ。その後、政府・日銀の為替介入が入り、米ドル/円が大きく下落すると、日をまたいで10月22日(土)0時台に利確している。

(※編集部注:「ドテン」とは、持っているポジションを決済し、反対のポジションを建てること)

10月21日の政府・日銀による為替介入前後の米ドル/円 30分足
10月21日の政府・日銀による為替介入前後の米ドル/円 30分足

(出所:TradingView)

志摩力男のグローバルFXトレード!
2022年10月22日(土)0:40の配信メール

高値から5円近く落ちました。そろそろでしょうか。 タイミングずれたのですが、買い戻しています。 USDJPY -0.5@151.40 ⇒クローズ@147.50   

 そのショートポジションの利益は390pips(3.90円)、先に決済していたロングポジションの利益を合わせると547pips(5.47円)にもなる。

 つまり、政府・日銀の円買い介入がその時間に入ることを知っていたかのように、鮮やかにポジションを切り替えて利益を出していたのだ。

 「たまたま、政府・日銀が為替介入する直前にWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の記者、ニック・ティミラオスさんの記事が出ました。

 彼は最近FOMC(米連邦公開市場委員会)の代弁者になっていて、次のFOMCで利上げ幅を0.75%ではなくて縮小させるのではないかというニュアンスの記事だったのですが、その記事を読んだ瞬間に相場が変わると判断しました

 志摩さんはメルマガで政府・日銀による為替介入が入る直前にニック・ティミラオス氏の記事について触れ、その記事の内容を理由に米ドル/円のショートポジションを建てたことを伝えていた。

志摩力男のグローバルFXトレード!
2022年10月21日(金)22:43の配信メール

ドル下落、WSJ紙、ニック・ティミラオス氏記事が要因か?
11月は0.75%だが、12月にもっと低い利上げペースを示すべきか(0.5%) と書いてあります。

志摩力男のグローバルFXトレード!
2022年10月21日(金)22:49の配信メール

ドル円を売って、ユーロドルを買います。 WSJ紙記事が理由です。 USDJPY -0.5@151.40  ストップは152.10

 このように、政府・日銀の2回目の為替介入で大きく利益を積み上げた志摩さんだったが、特に難しいトレードはこの後だったという。

 「政府・日銀の為替介入後、米ドル/円の押し目を買っていて、大きく崩れるとは考えていませんでした。

 米ドル/円は145円を割れると、この円安相場は終わると考えていましたが、145円割れからの下げは想定以上でした

 このように話す志摩さんだが、収益グラフを見ると「損小利大」トレードは崩れることなく、トレンドがはっきりせず上下に振れるボラティリティの高い米ドル/円相場に合わせて利益を積み上げた。これまでの急激な円安相場から一気に転換する中で、収益を維持するだけでも難しい局面。その中で、利益を積み上げているのはさすがだ。
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志摩力男のグローバルFXトレード!

志摩力男のFXトレード手法と理想としているトレードとは?

 2022年の米ドル/円トレードは本当にやりやすかったと話し、実際に5200pips超の利益を出した志摩さんだが、改めて志摩流FXトレード手法について聞いてみた。

 「トレードのやり方としては、頭の中にいくつかのシナリオを用意しておいて、AプランではなくなったらBプランに移行というようにスイッチを切り替えています。

 マズいなと思ったら離れるのが大事。それが1秒前に言っていたことと180度違うことだとしても、恥ずかしがらないでスパッとやめることが大切です。

 たとえば、戦いの状況が変わって自軍が不利になったら潔く撤退するということ。それは常に変化があるマーケットにおけるトレードにも当てはまります」

 確かに、志摩さんのFXトレード手法なら、ニック・ティミラオス氏の記事を見て、政府・日銀の為替介入の前にドテンすることができたというのも納得だ。さらに志摩さんは理想のトレードについてこう話している。

 「レバレッジ1倍で20~30%取れるのが良いトレードだと考えていて、メルマガでもこれを目指したトレードをしたいと考えています。

 そういった意味で、2022年に米ドル/円で5000pips(50円)以上取れたというのは、上出来だったなと思います」

志摩さんの理想とするトレードは、レバレッジ1倍で20~30%取れるトレード。メルマガ「グローバルFXトレード!」でも、これを目指しているという

志摩さんの理想とするトレードは、レバレッジ1倍で20~30%取れるトレード。メルマガ「グローバルFXトレード!」でも、これを目指しているという

2023年の米ドル/円は荒れた相場に。トレンドは出にくいがトレードチャンスはある

 それでは、2023年の米ドル/円相場とトレード戦略について、志摩さんはどのように考えているのだろうか。

 「2023年は難しい相場になると考えています。2022年後半の米ドル/円は、高値から一時20円近く下落してかなりの調整になりました。

 ただ、全体を見るとこの程度の調整はあってもおかしくない動きなので、2023年も米ドル/円が上下に振れる展開は変わらないでしょう

 2023年の米ドル/円相場についてこのように話す志摩さんだが、その根本的な要因として日銀の金融政策があるという。

 「来年(2023年)は日銀総裁が変わるので、さらなる金融政策の変化はありそうで、それを材料にして円高はあるかもしれません。

 12月20日(火)にYCC(イールドカーブ・コントロール)の変更がありましたが、根本的に金利が上げられない状況は変わりません。短期金利が0.50%以上上がるのは難しいのではないでしょうか

(※この取材は2022年12月6日に行ったものです。12月20日に日銀が政策変更を決定したことに伴い、内容を一部加筆しています。)

来年は日銀総裁が変わるので、金融政策に変化はありそう。それを材料に円高になるかもしれないと話す志摩さん。ただ、根本的に金利が上げられない状況は変わらないという

来年は日銀総裁が変わるので金融政策に変化がありそうで、それを材料に円高になるかもしれないと話す志摩さん。ただ、根本的に金利が上げられない状況は変わらないという

 では、上下に振れる中で米ドル/円にトレードチャンスはないのだろうか。

 「購買力平価的には80円程度ですが、そこにはなかなかいかない。もう円安は終わったという人もいますが、そうはならないでしょう。ただし再度の円安には、米ドル/円がしっかり底入れする必要があります。

 よって米ドル/円は直線的な上昇相場ではありませんが、ボラティリティのある上下に振れた動きの中で収益チャンスは多くありそうです

 今年(2022年)のような急激な円安による米ドル/円の上昇相場は期待できそうにないが、ボラティリティのある相場が継続するのであれば収益チャンスはありそうだ。

志摩力男のグローバルFXトレード!

マーケットの小さな変化も逃さない!FXをうまくなりたい人はメルマガ「グローバルFXトレード!」を購読してみて

 最後に、志摩さんは今年(2022年)の米ドル/円上昇トレードで心がけていたことについてこう話している。

 「上昇相場は馬の尻尾にぶらさがるようについて行けという格言があって、これはもうついていくしかありませんでした。

 途中で利食いたくもなることもあるし、大相場になるか判断するのも常に半信半疑です。だからこそ、いつか終わりになるのではないか、マーケットに変化の兆しがないかを常にチェックしています

今年の米ドル/円トレードで爆益を叩き出した志摩さんだが、どのような状況になっても、マーケットの変化を常にチェックは欠かさないそうだ

今年の米ドル/円トレードで爆益を叩き出した志摩さんだが、どのような状況になっても、マーケットの変化を常にチェックは欠かさないそうだ

 そんな志摩さんがザイ投資戦略メルマガで提供中のメルマガ「グローバルFXトレード!」は、FX初心者にもわかりやすいことでも定評がある。登録後10日間無料で購読できるので、2023年はFXトレードをやってみようと思っている人、すでにFXをしていてもっとうまくなりたい人まで、メルマガ「グローバルFXトレード!」をお供にトレードしてみてはどうだろう。

 さらに10日間の無料期間後、有料会員になるとログインできる会員限定ページでは、当記事で紹介した志摩さんのインタビュー動画を視聴できる。ここでは紹介しきれなかった話も動画では公開しているので、10日間無料で使ってみて志摩さんのトレードをもっと知りたい人はこの機会にご検討を。

(取材・文/ザイ投資戦略メルマガ 撮影/和田佳久)

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