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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

ユーロ/米ドルの反発はそろそろ一服か?
そのカギはユーロ/スイスと米国株が握る!

2011年01月20日(木)14:47公開 (2011年01月20日(木)14:47更新)
西原宏一

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 こんにちは。

 先週に引き続き、ユーロについてご説明します。

ユーロのソブリンリスクは大幅に後退した

先週のコラムでご紹介させていただいた「ユーロ圏のソブリン危機に対する欧州当局の対応」ですが、今週に入っても好材料が矢継ぎ早に出ています「欧州当局は救済先を海外に求めるほど困っている。中期のユーロ安に変化なし!」を参照)

 このため、ユーロのソブリンリスク(国家に対する信用リスク)は大幅に後退しています

 まず、日本が先週、いち早く「EFSF債(※)」の購入を表明したことがユーロ反発の要因の1つとなりましたが、その後、中国やロシアも「EFSF債」を購入する可能性に言及しています。

「EFSF債」はフランス、ドイツの政府保証がつき、格付け会社から「トリプルA」の格付けを取得しています。

利回りはドイツ国債よりも高いため、各国の興味を引くのもうなずけますね。

※「EFSF債」とは、EU(欧州連合)がユーロ防衛のために創設したEFSF(欧州金融安定基金)が発行する債券。最大で4400億ユーロの政府保証付き金融安定化債を発行できる。

■ユーロ/米ドルは1週間で年初の下落をすべて埋めた形に

 また、中国がポーランド国債購入を示唆したことに加えて、スペインの財務省が「中国はスペイン国債の購入を増やしており、これは信頼のサインだ」と発言しています。

 昨年末のユーロ圏におけるソブリン危機の際も、ECB(欧州中央銀行)がアイルランドとポルトガルの国債を購入したことにより、周辺国のソブリン危機が緩和され、ユーロ/米ドルは反発に転じましたが、今回も同様の動きと言えます。

 そして、ECBのみならず、日本をはじめとする主要国が「EFSF債」の購入に対して興味を示したことが、今回のユーロ危機の沈静化に寄与した格好となっています

 これらのことが好感されて、先週急落していたスペインのサンタンデール銀行の株価は急激に回復しています。

「周辺国国債の上昇+周辺国金融機関の株価の反発」と条件がそろえば、ユーロ/米ドルが反発するのも当然ですね

 ユーロ/米ドルは1週間で500ポイントも急騰しており、年初の下落をすべて埋める形で上昇しました。

ユーロ/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

 さて、当局の対応によってユーロのソブリンリスクが解消され、ユーロ/米ドルはこのまま上昇を続けるのでしょうか?

ユーロ/スイスの動きから考えると、ユーロ/米ドルは…

ユーロ/米ドルの行方を探るのにカギを握るのが、ユーロクロス(米ドル以外の通貨とユーロの通貨ペア)の動きです。特に、ユーロ/スイスフランの動きが重要なカギを握っています

 ユーロ/スイスフランは昨年末、市場参加者の予測を大きく上回るスピードで下落を続け、12月30日には1.2402フランまで急落しました。

ユーロ/スイスフラン 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 日足

 多くのエコノミストが2011年のユーロ/スイスフランの下落を予想し、その最初のターゲットを1.2500フランとしていましたが、年明けを待たずに翌年(2011年)の目標値まで下落してしまい、2010年を終了したのでした。


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