■市場は当局の対応に注目している
3月17日(木)早朝に見られた円の対米ドルでの急騰劇は、福島の原発に対する懸念が高まったことによる一種の「パニック相場」とも言えます。
その後は79円台前半まで急速に値を戻しています。
ただ、円金利が急騰しており、現状のままだと再び「株安・円高」が再燃する可能性が濃厚です。
この状況下、市場が注目しているのが当局の対応です。
今回の原発問題をきっかけにした日本発の「株安・円高」は、世界的にも株式市場に悪影響を与えています。したがって、仮に当局が「為替介入」を行っても、国際社会から了解を得られやすい環境下にあります。
すでに、3月16日(水)の夜にラガルト仏経済財政相が、主に財政面での協力について、緊急G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の開催を提案しているようです。
このため、海外当局への委託介入の可能性も高まっており、「金利と為替」双方において国際的な対策が始まれば、3月17日(木)早朝につけた76.25円が当面の米ドル/円の安値になる可能性もあります。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
その一方、本日になって、スイスやイギリスなどの政府が、東京周辺と東京以北の在住者に対して、避難勧告、もしくはその検討を進めているという報道も出てきています。
こうしたことから、海外勢の円の買い戻し圧力は根強く、さらなる対応策が出てこなければ、「株安・円高」が続くことは濃厚です。
なお、ヘッジファンド勢も、東京発の株価急落を懸念しているようです。震災後の3営業日で、「S&P500種株価指数」は3.6%の下落となっています。
■豪ドル/円も巨大なバリアを割り込んだことで急落している
さて、3月3日のコラムでご紹介させていただいたとおり、ヘッジファンドは、株価下落に対して相関性の高い豪ドル/円でヘッジするというオペレーションを行っているようです(「ヘッジファンドでも読みづらい投資資金の行方。豪ドルはダウンサイドか」を参照)。
今回も、株価下落にともなって、彼らから大量の豪ドル/円の売りが出ているようです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
もともと高値警戒感が出ていた豪ドル/円でしたが、3月17日(木)早朝、75.00円の巨大なバリアを割り込んだことで、下落が加速しています。一時は74.50円まで急落しました。
豪ドル/円の行方も当局の対応しだいであり、株価下落が止まるのかにかかっていると言えるでしょう。
なお、3月17日(木)の昼過ぎに、野田財務相がG7会議を3月18日(金)に行うことを発表したようです。
これを受けての本日の海外市場における「為替と金利」双方に対する当局の対応に注目です。
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