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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

2025年の米ドルは最終的にじり安へ。台湾ドルと韓国ウ
ォンが急騰も円は急騰せず。日米財務相再会談での為替協
議に注目だが、発表しないで緩やかに米ドル安誘導しそう

2025年05月15日(木)15:32公開 (2025年05月15日(木)15:32更新)
西原宏一

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韓国ウォン急騰につれて米ドル/円が下落も、米国側から「米ドル安を模索していない」と伝わって反発

 みなさん、こんにちは。

 5月14日(水)、韓国ウォンが対米ドルで一時約2%急伸しました。きっかけは、米国と韓国が通貨政策を協議したとの報道です。

 この韓国ウォンの急騰は米ドル/円相場にも波及し、米ドル/円は一時145.61円付近まで急落しています

 しかし、その後米国側から「米ドル安を模索していない」との関係者発言が伝わり、一時147.10円レベルまで反発するという乱高下を演じています。

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足チャート

(出所:TradingView

 これは、先週(5月5日~)の台湾ドル急騰と同様の動きと言えます。

 週明けの「米中関税交渉の一時停戦」報道でかき消されていますが、先週の大きなニュースのひとつに台湾ドルの急騰があり、5月2日(金)と5月5日(月)の台湾ドルは7~8%という歴史的な急騰をみせました。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円の戻り売り継続! 台湾ドルの急騰が米ドル/円の下落を誘引したのは、アジア当局が懸命に否定しても、米国との「アジア通貨高合意」報道や憶測が消えないから(5月8日、西原宏一)

 Bloombergはこの台湾ドルの急騰を、米中貿易交渉の継続を受けての動向だとしています。


台湾ドルは月曜日に4.5%急騰し2年半ぶりの高水準を記録した。
これは米中貿易交渉の継続を受けての動向だ。台湾の通貨は月曜朝、米ドルに対し29.672まで急騰し、2023年2月以来の最高水準に達した。これは6営業日連続の上昇で、上昇率は1988年以来最大となった。基準株価指数は一時1.7%下落した。
(出所:Bloomberg)


 台湾の保険会社は米国債をヘッジせずに保有しているとの報道もあり、彼らの米国債売りにつながるのではないかとの観測が拡大しています。

 台湾ドルの上昇につれ、アジア通貨も総じて上昇。これは視点を変えると、仮にマールアラーゴ合意(※)的なものが台湾ドルにもたらされるのであれば、米ドル/円にも影響があるのではとの噂にもつながりました。

(※マールアラーゴ合意とは、トランプ政権下でCEA(大統領経済諮問委員会)委員長を務めるスティーブン・ミランが提唱する、新たな多国間通貨合意の枠組みのこと)

 ただ、先週の台湾ドルの急騰を受けて、米ドル/円をショートした短期筋は「米中関税交渉の一時停戦」報道により、買い戻しを強いられています。

 そして、今回の韓国ウォンの急騰による米ドル/円下落も、Bloombergの下記の報道により、その流れが止まった展開です。


米当局者は世界各国と貿易交渉を行っているが、その一部に通貨政策の約束を盛り込もうとはしていないと、関係者が明らかにした。為替の協議は、ベッセント財務長官が出席する交渉に限定される
(出所:Bloomberg)


 この記事によれば、為替の協議に関しては、ベッセント財務長官が出席する交渉に限定されるようです。

 それでは、ベッセント財務長官と日本の「日米為替協議」に関する会談はあるのでしょうか?

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マールアラーゴ合意の噂はマーケットの「作り話」か? 加藤財務相とベッセント財務長官の「日米為替協議」の再会談に注目

 先週の台湾ドルの急騰、そして今週の韓国ウォンの急騰を受けても、米ドル/円下落が進まなかったことから、マールアラーゴ合意の噂はマーケットの「作り話」であるとの意見が増えてきています。

 そのため、マーケットの短期筋は週明けに米ドル/円のロングに転じる参加者も増えてきました。

 しかし、アジア通貨の動向をチェックすれば、台湾ドルも韓国ウォンも急騰したまま、大きく戻しているわけでもありません

 この状況でアジア通貨の急騰が、米ドル/円にまったく影響がないとは言い切れません。

 こうした中、日経新聞が『加藤財務相「日米の為替協議を追求」 ベッセント氏と再会談検討』と報道しています。


加藤財務相「日米の為替協議を追求」 ベッセント氏と再会談検討
加藤勝信財務相は13日の閣議後の記者会見で、20日にカナダで開幕する主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議にあわせて米国のベッセント財務長官との会談を検討していると明らかにした。「引き続き為替についての協議を進めることも追求していきたい」と述べた。
加藤氏は協議の具体的な中身については「市場の臆測を招き、為替市場に不測の影響を及ぼす恐れもある」として言及しなかった。
(出所:日経新聞)


 仮に、為替相場は実際に「マーケットが決めること」としての認識があるのであれば、日米2国間で「為替協議を追求する」会議を検討する必要はありません。

 対米で貿易黒字の国が多いアジア通貨が上昇する中、「日本は違う」という交渉がうまくまとまるかどうかは、この交渉にかかっています。

 一部報道では、関税交渉において、トランプ関税撤廃へ米国の軟化を狙って「米国産日本車」の逆輸入案が浮上しているようです。

 どちらにせよ、トランプ政権は貿易赤字を減らすという目的があるため、その目標に向かっての提案がなければ、米ドル安誘導の噂は消えないでしょう。

 ただ、仮に米ドル安誘導がなくても、主要各国の信頼を失った米ドルは、じわじわと下落すると考えている参加者も増えてきています。

 米国による米ドル安誘導がマーケットの作り話であるかどうかは、次回のベッセント財務長官と加藤財務相の会談に注目。

 もっとも、米国はドル安誘導しているとは言えませんので、会談後、どういう発表になるか注目されるところです。

 一方、主要通貨の対米ドル騰落率を見てみると、米ドルは年初来から主要通貨に対して軒並み値を下げています。

主要通貨の対米ドル騰落率(年初来)

 加藤財務相とベッセント財務長官の次回の対談で、なんらかの為替の発表があれば相場の方向性が明らかになるのですが、そうした発表は考えにくい。

 なぜなら、仮に米国が米ドル安誘導していたとしても、米ドル安が緩やかに秩序立って進むようにコントロールする必要があるからです。

 その結果、今年(2025年)の米ドルは、急落すれば大きく値を戻す局面もあるでしょうが、最終的にはじわじわと値を下げていく展開になりそうです。


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