ザイFX! - 初心者必見のFX総合情報サイト

西原スーパーバナー
----年--月--日(-)日本時間--時--分--秒
西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドル/円が76.25円まで暴落!
パニック相場の終息は当局の対応しだいか

2011年03月17日(木)14:52公開 (2011年03月17日(木)14:52更新)
西原宏一

ザイFX限定!口座開設&取引で最大10000円もらえる! トレイダーズ証券みんなのFX

 まず、東北関東大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々のご無事をお祈りいたします。

 加えて、今後の余震情報にも十分にお気をつけください。

市場の関心は「リパトリ」に集まっている

 為替相場は、日本の巨大地震の影響で大きく円高に振れています。

 この円高の動きは、日本の保険会社が巨額の外貨資産を円転する可能性があることが要因として挙げられています

 つまり、市場の関心は「リパトリエーション(本国への資金送還)」に集まっています

 1995年に阪神・淡路大震災が発生したときを振り返ると、その後、米ドル/円は3カ月で約20%も円高が進み、4月に79.75円の史上最安値をつけました。

米ドル/円 月足

 ただ、当時は機関投資家の外貨資産ヘッジ比率が3割程度しかなかったため、ヘッジ売りが重なり、それがさらなる円高を呼ぶという悪循環を繰り返したことが円急騰劇の要因です

現在の彼らのヘッジ率は70%に達していると言われており、当時とは相場環境がかなり違うため、 単純に前回の震災時と比較することはできないと考えています。

 そもそも、地震の被害が確定していないのに、生保が円転するわけはなく、 「リパトリエーション」に関しては中期的な円高要因ということでしょうか?

■米ドル/円は「パニック相場」に陥り、76.25円まで暴落

 短期的には、海外勢からの円高圧力が高まっています。

 その要因は、福島の原発に対する警戒が高まっているためです。

 3月16日(水)の海外市場では、EU(欧州連合)のエッティンガー委員(エネルギー担当)による「日本の原子力機関の状況、制御不能」との発言、天野・国際原子力機関(IAEA)事務局長の「日本の状況は非常に深刻で、緊急IAEA会議を招集する」との発言が伝わりました。

 さらに、カーニー米大統領報道官が「在日米国人に、原発から50マイル退避するよう勧告」と発言したことも報道され、米ドル/円は「パニック相場」に陥りました。

米ドル/円 5分足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 5分足

 3月17日(木)早朝、米ドル/円は79.50円のバリアを突破すると、78円台、77円台のバリアを次々にヒットし、一時は76.25円まで暴落しました

 しかし、東京市場に入ると、当局による介入への懸念が高まり、現執筆時点で米ドル/円は79円台前半で推移しています。

■市場は当局の対応に注目している

 3月17日(木)早朝に見られた円の対米ドルでの急騰劇は、福島の原発に対する懸念が高まったことによる一種の「パニック相場」とも言えます。

 その後は79円台前半まで急速に値を戻しています。

 ただ、円金利が急騰しており、現状のままだと再び「株安・円高」が再燃する可能性が濃厚です

 この状況下、市場が注目しているのが当局の対応です。

 今回の原発問題をきっかけにした日本発の「株安・円高」は、世界的にも株式市場に悪影響を与えています。したがって、仮に当局が「為替介入」を行っても、国際社会から了解を得られやすい環境下にあります

 すでに、3月16日(水)の夜にラガルト仏経済財政相が、主に財政面での協力について、緊急G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の開催を提案しているようです。

 このため、海外当局への委託介入の可能性も高まっており、「金利と為替」双方において国際的な対策が始まれば、3月17日(木)早朝につけた76.25円が当面の米ドル/円の安値になる可能性もあります。

米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足) 

 その一方、本日になって、スイスやイギリスなどの政府が、東京周辺と東京以北の在住者に対して、避難勧告、もしくはその検討を進めているという報道も出てきています。

 こうしたことから、海外勢の円の買い戻し圧力は根強く、さらなる対応策が出てこなければ、「株安・円高」が続くことは濃厚です

 なお、ヘッジファンド勢も、東京発の株価急落を懸念しているようです。震災後の3営業日で、「S&P500種株価指数」は3.6%の下落となっています。

■豪ドル/円も巨大なバリアを割り込んだことで急落している

 さて、3月3日のコラムでご紹介させていただいたとおり、ヘッジファンドは、株価下落に対して相関性の高い豪ドル/円でヘッジするというオペレーションを行っているようです「ヘッジファンドでも読みづらい投資資金の行方。豪ドルはダウンサイドか」を参照)

 今回も、株価下落にともなって、彼らから大量の豪ドル/円の売りが出ているようです。

豪ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足) 

 もともと高値警戒感が出ていた豪ドル/円でしたが、3月17日(木)早朝、75.00円の巨大なバリアを割り込んだことで、下落が加速しています。一時は74.50円まで急落しました。

豪ドル/円の行方も当局の対応しだいであり、株価下落が止まるのかにかかっていると言えるでしょう。


 なお、3月17日(木)の昼過ぎに、野田財務相がG7会議を3月18日(金)に行うことを発表したようです。

 これを受けての本日の海外市場における「為替と金利」双方に対する当局の対応に注目です。


【ザイFX!編集部からのお知らせ】

 ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)です。

西原宏一投資戦略メルマガ「トレード戦略指令!」

「トレード戦略指令!」10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。

人気のザイFX!限定タイアップキャンペーンをPickUp!
FX初心者のための基礎知識入門
CFD口座おすすめ比較 トルコリラスワップポイントランキング トレーディングビュー記事
CFD口座おすすめ比較 トルコリラスワップポイントランキング トレーディングビュー記事
『羊飼いのFXブログ』はこちら
↑ページの先頭へ戻る
西原宏一