■円安が止まらず、クロス円も震災前の水準を超えてきた
震災後の為替相場は、かなり荒れた値動きとなっています。
まず、3月11日(金)に東日本大震災が発生した後、1週間程度は急激に円高が進みました。
その理由については3月17日のコラムでお伝えしていますが、日本の機関投資家などが、海外からお金を戻す「リパトリエーション」の動きが出てくるのではないかといった観測によるものでした(「なぜ、日本国内で経済的な危機が起きると円買いが起こりやすいのか?」を参照)。
しかし、実際にそのようなことが起きそうもないとはっきりしたため、今度は一転して、急激に円安方向に向かい始めています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
米ドル/円は3月17日(木)に史上最安値76.25円をつけた後、円安傾向が止まることなく推移し、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も軒並み震災前の水準を超えてきました。
■震災の影響も円安傾向が止まらない理由の1つ
円安傾向が止まらない理由について、私は2つあると思っています。
1点目は、やはり震災の影響だと考えています。
みなさんもご存知かもしれませんが、現在、東北地方の部品工場などが壊滅的な被害を受けているため、全国の製造業に大きな影響が出ています。その典型的な例が自動車でしょう。
自動車は3万とも言われる部品でできているのですが、その1つでも欠けると、まさに1ピースが足りないパズルのように、完成品とはならないのです。
日本の自動車メーカーの部品は東北地方の企業がかなり作っていましたので、そこが止まってしまっているので、全体が稼動しなくなっています。
首都圏だけではなく、東海、関西の工場までもが動けなくなったりしてしまっているのです。
加えて、首都圏の計画停電の影響で、首都圏の工場が通常どおり稼働できなくなっているようです。この影響も非常に深刻で、これらの問題はかなり長期化することが確実となってきています。
そうなれば、企業はどうするのかということですが、当然部品を他のところで探したり、あるいは、製造拠点そのものをどこかに移転する動きが出てくる可能性もあります。
もし、海外への移転が相次いで、日本の経常収支が悪化すれば、これは明らかに円安要因となります。
■FRBの国債買い入れ終了の見通しも円安要因に
2点目は、アメリカの金融政策です。
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