6月1日(水)に発表された5月分のADP雇用統計は前月比3万8000人増となり、市場予想を大幅に下回ったものとなりました。
これにより、10年もの米国債の金利(長期金利)は急低下しています。
ADP雇用統計の結果発表を受けて、当初はユーロに対しても「米ドル売り」が進み、一時は1.44ドル台ミドルまでユーロ/米ドルは上昇しました。
しかし、1.4450~1.4500ドルの厚い「ユーロ売り」注文をこなしきれず、その後は反落しています。
結局、NYダウが下げ幅を拡大し、ユーロ/円が急反落したため、ユーロ/米ドルは1.4330ドルまで下落しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
欧米の主要な市場参加者は、ユーロ/米ドルの中期見通しを変えていないようです。
ただ、ユーロ/米ドルは1.39ドル台から急回復してきたため、利益確定売りが入りやすい状況にあります。
加えて、米国株が不安定となったため、ユーロ/米ドルは当面のところ、1.45~1.46ドルあたりで上値を抑えられるのではないでしょうか?
■米ドル/円は再び80円割れとなる展開か?
また、米国株の反落は、先月来堅調に推移してきた資源国通貨の上昇にも陰を落としています。
ここでの注目は、まずはNZドル/円です。
最近のマーケットは一方向に振れやすく、いったんNZドルが注目されると資金が集中しやすく、短期間で大きく値を上げてきました。
しかし、6月1日(水)の米国株の反落により、先月来上昇を続けてきたNZドル/円が調整局面に入る可能性も高まってきました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 日足)
そして、NZドル/円の反落は、他のクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落を誘因するでしょう。その影響を受けそうなのが米ドル/円です。
相関性の高い米国の金利が下落している割りには、NZドル/円やスイスフラン/円の上昇に支えられ、これまでの米ドル/円の下げ幅は限定的となっていました。
しかし、6月1日(水)に発表された米国の経済指標の悪化をきっかけに、米国株が反落し、クロス円に売り圧力がかかっているため、米ドル/円の上値も重くなってきています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
日本の政局は依然として不透明であり、このことは「円売り」の要因となります。それ同時に、急激な円高局面となったときに「市場介入」ができるのかとなると、政権の基盤が安定しない中では不透明です。
クロス円の下落が影響し、米ドル/円の上値が限定されていることもあり、米ドル/円の戻りも82.00円レベルでは重くなっています。
米ドル/円は、米国の金利低下を横目にジワジワと軟化し、再び80円を割り込んでいくのではないでしょうか?
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