昨日の欧州時間での注目はイタリアとスペインの国債入札だった。イタリアは1年ものなので国債と呼べないかもしれないが、世の中の緊迫度を測るにはやはり必要だ。前回が5%台で落札が決まったのに対して、今回は2%台の半ば。たいへんな利回りの好転であった。ユーロは上がるには上がったが、あまり値幅はなかった。
アジア時間の終了のころと比べると50ポイントほどしかユーロドルは上がらなかった。私もだまされたと思って19時前からユーロドルをロングにして待っていたのだが、あまりの上がらなさに嫌気がさしてすぐにやめてしまった。最近よくある傾向として、入札が済んだ後にユーロの押し込みが起こることが多い。無用にユーロロングをキャリーし続けるのは、現状の相場ではたいへん危ないことだ。
BOE(英中銀)もECB(欧州中銀)も予想通りに金融政策に変更はなし。こうなると期待はアメリカの経済指標に移らざるをえない。その時間に向かってユーロドルが下げてきた。やはり米経済が良いことを期待してのドル買いの一面もあったようだ。とくに小売りは良い数字が期待されても仕方がない。クリスマス商戦はたいへん良かったと言っているのだから。それでも結果は予想よりも悪かった。
おまけに同時に発表された失業保険も悪化していたので、マーケットは全般的にリスク回避に動きとなった。欧州時間で盛り上がっていた株価も反転、下落へ。クロス円も売り込まれるになって、ユーロ円は98円台を回復していたが、再び97円台逆戻りとなっていった。
このままリスク回避でニューヨーク市場に入るのかと思っていたら、ドラギ総裁が定例会見の中で「ユーロ圏には安定化の動きも見られる」などと発言し、欧州の信用不安はだいぶ薄まったのかという観測が急浮上した。たしかにスペインやイタリアの長期債の利回りも一時期ほど悪くはない。入札もなんとか順調にこなしている。マーケットでは急速にリスク許容度が回復したようで、ユーロドルは欧州時間の高値をブレークしてきて、なおも高値追いの姿勢。1.28台まで乗せてきても、なおも腰が強かった。
昨日は結局、夜の相場ではフレッシュなポジションを作れずじまい。まあ、ユーロドルが1.28台の前半で止まってしまったのだから、何も出来ないわけだが…。最近はユーロポンドに驚かされることが多いが、昨日のユーロポンドは100ポイント以上も上昇。このユーロポンドを見ていると、ユーロベアで構えている私などはとても手が出ないものである。
今晩も欧州の国債入札が気になるところだが、21時過ぎにJPモルガンの決算発表にも注意を払いたいところだ。今月になってから基本的に米国株は堅調で、そのまま高値圏を維持している。そのリード役の金融株の動向が試される場面である。米国株は一段高するようだと、安心感からユーロも買い進まれるだろう。
そうなればユーロドルも1.30の大台をトライするような局面も現れるかもしれない。ただ今夜はキング牧師の記念日イブということで、半日営業となる金融市場もあり、参加者は少なそうだ。ニューヨークの午後はまったく動かなくなるだろう。
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