先週の金曜日の注目は、なんといってもアメリカの雇用統計だった。失業率に関しては8.7%、8.5%と徐々に改善してきているので、今回もさらに良くなる可能性も排除できない状態ではあった。マーケットでは期待だけが高まっていたが、事前予想のコンセンサスは8.5%のままであり、かなり控えめのもの。一方で就業者数は13万人から14万人前後の増加が見込まれていた。これは2日前に発表されたADP雇用指数での17万人という結果に適うものだった。
発表直前の状況としては、為替市場では今年になって進んだドル安の、しかももっともドル安のレベルで張り付いたままと。ドル円は76円台のローで、ユーロドルは1.31台の後半という、年初からのドル安水準で発表を待つこととなった。外部環境をながめれば、株価は今年の最高値ゾーンで落ち着いており、1月に起こった株価上昇が正しい動きなのかどうかを試される局面だ。
そしてFOMC以降に続いているアメリカの長期金利の低下。株価が上昇するなかでの債券価格の上昇なのだから、これは言うまでもなく金融相場の様相を呈しているといえる。米国債も昨年の9月に記録した史上最低の利回り水準にアタックするレベルで発表を迎えることとなった。
私としては事前の予想よりも結果が悪かった場合のほうが、市場の反応は大きいのではないかと考えていた。逆に言うと、良い結果となっても、すでにマーケットでリスクテークがかなり進んでいるのだから、ポジションの積み増しはない、よって利食いが出るだけではないかと考えた次第だ。私も雇用統計は良さそうだと認識しながらも、やはり値幅の期待できるリスク回避の方向でポジションを取るのが面白そうだと思った。
ユーロドルは1.30台から1.32台を行ったり来たりなので、ここは一発、ドル円だろうか。私は@76.21で売りこんで、ここ24時間で戻っていない76.40で買い戻しのストップ注文を置いておいた。利食いは要らないだろう。もしもドル円が突っ込むのならば、存外に深押しする可能性だってあるのだ。
結果は就業者数が24万人以上の増加となって、マーケットの期待を大きく上回った。また失業率も8.3%となり、これも予想よりも強い結果となった。すぐにリスクテークの相場展開となり、私のドル円ショートはいうまでもなく、即死した。株価は急上昇、債券は下落に向かった。
ところがユーロドルは1.32台までショートカバーが進んだものの、やはりドル買い圧力が高まっているということで、すぐに反転し、1.30台までドロップ。相場は発表後の1時間だけ動いてステージを変えただけで、ニューヨーク市場自体は動きの乏しい展開となった。
今週はこのままそうした流れが続くのかどうかが試される局面となる。ドル高といってもドル円ではまだ大台は76円台である。とてもドルが買われているという状況には遠い。ユーロドルも最近のレンジの下限である1.30台を割り込んできてもいない。今晩は材料薄の一日となるが、ポジション調整が出るのかどうかが見極めたいところだ。
すでにアジア時間ではユーロの調整売りも出てきている。しかしユーロドルは先週のディップである1.3024を抜けない限りは、同じようなレンジ相場が続くであろうし、ドル円も75円台に突入しないとフレッシュ感がなく、ちょっと面白味のない展開になってしまうのかもしれない。
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