クレディスイス銀行やバンク・オブ・アメリカなどで、長年にわたって為替ディーラーとして活躍してきた小林芳彦さんは現在、FX会社・JFXの代表取締役社長を務めている。
FX会社の社長という要職にある小林さんだが、相場について熱く語り、日々休むことなく情報発信し続けるその姿は現役ディーラーかと思ってしまうほど。その熱い語り口に、個人トレーダーにもファンが多い。今回、ザイFX!ではそんな小林さんに取材を行った。

■毎朝、6通貨ペアのデイトレ戦術をズバリ提示!
元為替ディーラーでJFXの代表取締役・小林芳彦さんの「短期売買方針」がデイトレーダーの間で「よく当たる」「参考になる」と評判になっている。この売買方針は、次のようにデイトレードのストラテジー(売買戦術)をズバリ提示しているのが特徴だ。
〔例:2月15日の売買方針(作成時78.384-396 7:42AM)〕
米ドル/円 買い
参入レベル(エントリーレート) :78.200
利食い(利益確定レート) :78.800
損切り(ストップレート) :77.800
毎朝、6通貨ペアのストラテジーを配信。しかも、実際に小林さんが方針どおりに売買(会社勘定)し、その結果がどうだったのか、成績も公表している。
ネット上では、小林さんの売買方針に「どのくらいゲタを履かせれば、成功率が高くなるか」で盛り上がっていたとか。熱心なファンも増えているらしい(「ゲタ」については次回紹介予定)。
小林さんの短期売買方針は、JFXとヒロセ通商の会員向け情報だ。まずはその中身を紹介しよう。
■ここまで明確に売買方針を示しているのは珍しい
情報は次の3段階に分けて配信される。
(1)「マーケット速報」で6通貨ペアの売買方針を順次配信(午前7~8時頃)
「いち早く知りたい」という人のために、売買方針を立てた通貨ペアから順次、速報で配信。対象は米ドル/円、ユーロ/米ドル、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、NZドル/円だ。
(出所:JFXのお客様専用コンテンツ)
(2)6通貨ペアの売買方針をまとめた「本日の参入レベル」を配信(午前9時頃)
9時以降は、各通貨ペアの売買方針が一覧表でチェックできる。
(出所:JFXのお客様専用コンテンツ)
(3)本日の予想レンジを加えた「参入レベル詳細」を配信(午前10時頃)
最後に、ポンド/米ドル、豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルを加えた9通貨ペアの予想レンジを追加。
(出所:JFXのお客様専用コンテンツ)
予想レンジやサポート・レジスタンスラインを挙げている情報はよくあるが、ここまで明確に売買方針を示しているものは珍しいのではないだろうか?
■機関投資家向けと同レベルの情報を配信
予想レンジやサポート・レジスタンスラインを挙げている情報はよくあるが、ここまで明確に売買方針を示しているものは珍しいのではないだろうか。
この点について、小林さんは次のように話している。
「銀行のディーリングルームで法人営業を担当していたとき、このような売買方針をお客様に毎日提供していました。そうしたら、お客さまが星取り表を作っていて今月は〇勝×敗だねとか、よく当たるねとか、いろいろ反響があったんです。
個人のお客さまにも末永く取引してもらえるように、当時と同じレベルの売買方針をお届けしたいと思いました」
つまり、機関投資家向けと同じレベルの情報を提供しているというわけだ。

■22カ月間で負け越した月はなんと2回だけ!
さて、気になるのは売買方針の成績だが、JFXとヒロセ通商の会員向け情報として公開されている「日々実績データ」を見ると、プラスの月が圧倒的に多い。
2010年4月から2012年1月までの22カ月間で負け越した月は、なんとたったの2回だけ。まさに“神業”とも思える成績なのだ。

そんな“尊い”情報なら、誰しも「ぜひ恩恵に預かりたい」と思うはず。
実際、配信される情報を見ながら、小林さんと同じように売買すれば、普通の人でも神業を起こすことは不可能ではない。
ただし、マーケットは刻々と変化するもの。朝の予想をずっとそのままにしてOKとは限らない。
小林さんもマーケットの変化に応じて対応を変化させることがある。途中で注文をキャンセルしたり、早々と利食いすることもあるのだ。そして、そうした情報も会員専用画面で発信されている。
つまり、「売買方針どおりに毎朝、注文を入れておくだけで儲かる」というほど甘くはないが、朝注文を入れてから、その後の小林さんの方針変更もすべてフォローして注文の変更などを行えば、小林さんの売買成績を再現することが可能と言える。
■ニューヨーク市場が動き出す前に手仕舞いする方針
この小林さんの売買方針はニューヨーク市場が動き出す、日本時間の21~22時までに手仕舞うことを想定している。だから、いずれにしても朝注文を入れたまま、ずっと放置しておくのはキケンだ。
「ポジションを持ったら、夕方くらいに利食いできるようなら利食いし、遅くても22時までには手仕舞う」というのが、小林さんの基本姿勢。

実際、売買方針どおりに注文を入れたまま放っておいたケースを検証してみると、ポジションを持ったあと、利食いレートまで到達しないで反転し、損切りレートに達してしまうことも少なくない。
たとえ含み損を抱えていても、22時頃までには決済したほうが無難と言えそうだ。
では、この短期売買方針はどのように活用したらいいだろうか?
(「JFX・小林芳彦社長に聞く(2) 大規模介入の日に『逆指値買い』で大勝!」へつづく)
(取材・文/河合起季 撮影/和田佳久)
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