昨日のニューヨーク市場では、その前日にCAPMが為替相場の流れを決定したように、同じくセンチメント系の指標であるISMの製造業が流れを決定した。私もドル円が80円台に戻りきらないことをよいことに、ショートポジションをキープしていたのだが、ISMが良かったことをうけてマーケットはまた過敏なまでの反応を示した。
まあ、この日がこれしか材料がなかったことも理由のひとつであろう。それまで安値模索をしていた米国株も急反発となり、リスクの許容度が増大。そして急激な円売りも開始された。そもそも円ロングのポジションもたまっていたのは間違いない。私の80円ちょうどの買い戻し注文もあっというまについてしまった(笑)。
昨日は経済指標を見て、ポジションがなくなった後には、私はすぐに相場より撤退した。しかしその後にいろいろ出てきたニューヨーク市場での要人発言を見て行くと、かなり金融政策に関してホーキッシュな意見が多発してきているということに気がつく。
出た順に列挙していくと、ラッカー総裁は「2013年なかばにも利上げを行う用意」とし、エバンス総裁は「金融緩和を続けていると、そのうち流動性のワナに陥る」と言っている。ブロッサー総裁も同様に「2012年の後半か2013年の前半までに利上げをする必要性」を説いている。
長期にわたる金融緩和も長くはなさそうだという見方もあって、昨日の長期債相場では長期金利が上昇したが、これが一時的なものかどうかは今後の為替相場のなかにおける米ドルの位置づけを考えていく上でも重要となりそうだ。これよりいよいよ出口戦略のワードが再登場してくる段階となれば、強烈なドル買いを伴うかもしれないからだ。
ただし本当にその契機となるのか、それをうらないのは難しい。雇用の回復はまだ完ぺきとはいえないし、失業率が7.0%を下回ってくるまでは次回の利上げはありそうもないことを考えると、確かに2014年の後半まではありえそうもない。
しかし株価などは完全に回復しているのだし、昨日のニューヨーク市場ではダウ指数が2007年来の高値を取り戻したと騒がれもした。明らかにリーマンショックの前のレベルであり、サブプライム問題が取りざたされ始めた頃である。いつ通常に戻すという理由で、最低限の利上げを行ってもよいタイミングなのである。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)