株安が米ドル高や円高をもたらすといった方程式は、必ずしも成り立たないだろう。その最大の理由は、米国サイドにも大きな不安があるためだ。
米国サイドのマイナス材料は、「QE3」の可能性、ならびに、米国の財政危機の再浮上の2つである。
前者に関しては、先週末の雇用統計で一層蓋然性が高まっており、FRB内部のタカ派を押さえ込むと予想される。
また、後者に関しては、いわゆる「ブッシュ減税」の終了に伴い、財政再建に関する民主・共和両党の同意がなければ、米国のソブリン格付けが再び格下げされるといった懸念が高まっている。
ちなみに、今のところは、両党の合意の可能性は見出せずにいる。したがって、「ブッシュ減税」の終了後、米国政府の財政支出が計画どおりに削減されていくと、米国の景気回復を下支えする原動力がなくなってしまうかもしれない。
以上から、相場はしばらく、こう着状態になる公算が高く、明確な米ドル高のトレンドは想像し難い。
■ユーロ/米ドルが、どこまで下げるのかがカギに
とはいえ、ファンダメンタルズの材料で相場の行方をはかることはできないので、結局のところ、相場自体の内部構造が方向性を示すことになる。
その意味では、節目の1.3000ドルを割り込んだユーロ/米ドルが、どこまで下げるのかが、よい試金石となるだろう。
(出所:米国FXCM)
ユーロ/米ドルの日足チャートを見ると、1月16日安値から、続伸の可能性を示唆する「上昇ペナント」のフォーメーションが継続していた。だが、足元では、その中段保ち合いの下限を下放れようとしているかに見える。
目先では、このフォーメーションが失敗するか、現在進行中の下放れがダマシであるかどうかを見極めたいところである。
■米ドル/円は、79.52円を終値ベースで下回るかに注目!
また、米ドル/円については、79.52円を終値ベースで下回るか、否かを見極めたいところだ。その理由は前回のコラムでご説明したので、今回は省略させていただく(「『日本は少子化、低成長だから円安になる』という考え方は根本的に間違っている!」を参照)。
なお、「終値」を重視するのは、株式とは異なり、レバレッジ取引が主流の為替相場では、ザラ場(取引時間中)での重ね(4波が1波の領域に入ること)が許容されるからである。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
「休むも相場」である。次なるメイントレンドがはっきり出るまで、辛抱強く待つことも肝心だ。
当然のように、フランスの政局云々といった理由だけで、勝手に相場の進行を推測するのは禁物である。市況は如何に。
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