■ユーロ/豪ドルはユーロ導入以来の安値を更新
みなさん、こんにちは。
ECB(欧州中央銀行)が預金ファシリティ金利をゼロにして以来、ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)の下落は継続。
【参考記事】
●市中銀行がECBに預金しても利息はゼロ!97円割れのユーロ/円はさらに下落が濃厚(7月12日)
ユーロクロスを先導しているユーロ/豪ドルは、ユーロ導入以来の安値を更新し続けており、大きな戻しもないままじわじわと安値を更新し、一時1.1820ドルまで下落しました。

(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
ただ、同じユーロオセアニアクロスのユーロ/NZドルなどは下げ渋っています。
そして、対米ドルのユーロ/米ドルは1.21ドル台後半のサポートを割り込めず、保ち合い相場を形成しています。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
■QE3の可能性を否定せず、米ドルの下落も顕著に
前述のECBの決定により、ユーロはファンディング通貨(キャリートレードにおいて調達される低金利通貨)として最弱の位置にあったのですが、今週(7月16日~)に入り、ユーロ同様、米ドルの下落も顕著になってきています。
79.00~80.00円で膠着相場を続けていた米ドル/円でも、緩慢ながらも米ドル安が進み、7月19日(木)は78.48円まで下落。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
今週(7月16日~)に入って米ドルの下落が顕著になってきたのは、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言がきっかけとなっています。
ECBが預金ファシリティ金利をゼロにしたことで、さらに注目が集まった7月17日(火)、18日(水)のバーナンキ議長の議会証言。
QE3(量的緩和第3弾)に関しては、その可能性を示唆したものの、具体策は何も出ませんでした。
こちらに関しては、マーケット参加者のとらえ方が分かれており、QE3に関するコメントに期待感を持って待っていた参加者には失望ととらえられたようですが、金融緩和派は、はと派であったと解釈しています。
その金融緩和派が指摘しているのが、超過準備預金の付利(現在0.25%)の引き下げの可能性を否定しなかったこと。
加えて、多くのエコノミストは依然として2012年9月13日にQE3が決定される可能性を指摘しています。
バーナンキ議長の議会証言では具体策は出なかったものの、その可能性を否定したわけでもなかったため、このことが米金利の低下、そして米ドル安を誘因しています。
■豪ドル/米ドルとユーロ/米ドルの反発に警戒
前述のように、ユーロの弱さは変わらず、ユーロクロスの下落は継続していますが、先週(7月9日~)までのようにユーロ/米ドルの下落がユーロクロスの下落を先導しているわけではありません。
たとえば、ユーロ/豪ドルを例に挙げると、豪ドル/米ドルの上昇がユーロ/豪ドルの下落に結びついています。
友人のヘッジファンドによれば、先週(7月9日~)ユーロ/米ドルが1.2000ドルを割り込めず調整局面入りしたため、全体的にボラティリティが低下。
結果として、彼らのリスクオフポジション(WTI原油、豪ドル/米ドルのショート)の買い戻しを活発化させたとのこと。
8月を控え、為替相場全般にボラティリティが低下してきている中、政策金利が3.5%という豪ドルの金利は、ほかの主要通貨との比較では魅力的なものになるのではという見方もあるようです。
短期筋の買い戻しにより、豪ドル/米ドルは先週(7月9日~)まで強烈なレジスタンスであった1.03ドル台前半をブレイクし、7月19日(木)は1.0397ドルまで急騰。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)
米ドル/円も78円台に突入しており、英ポンド/米ドルも1.56ドル台に上昇。
QE3の可能性を残している米ドルの下落が顕著になってきているわけです。
現状、ユーロ/米ドルの1.23ドル台には、中長期のユーロ売り遅れ組の売り注文が並んでいる模様で、それが上値を抑えていますが、下値も1.21ドル台後半から1.22ドル付近で四度止められています。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
ユーロは依然として悪材料満載なのですが、米ドル下落が鮮明化する中、米ドルの弱さがユーロよりも顕著になり、ユーロ/米ドルも調整局面入り。
豪ドル/米ドルの強さは変わりませんが、米ドルの下落が鮮明化する中、豪ドル/米ドルに加え、ユーロ/米ドルの反発にも警戒感が高まっています。
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