詳細が不明なので、断定するには時期尚早だが、本当はマーケットの予想以上にECBが大胆な政策を準備しているといった印象が強い。これから徐々にマーケットは失望感を修正していくだろう。
9月のECB理事会まで具体策が出にくいことやドイツ憲法裁判所によるESMの合憲性判定などの懸念材料を考えると、ネガティブな見方の修正は1カ月先になる可能性が高い。ただ、マーケットの先行性を考えれば、これからの1カ月間でユーロの早期底打ちが確認できるのではないかとみる。
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■FRBの本意はマーケットに対する「口先介入」
ECB理事会通過後、マーケットの焦点は早くも今夜(8月3日)の米雇用統計にシフトしてきたと思われる。状況次第と強調してきたFRBのスタンスを考えると、今回の指標は重要であろう。
もっとも、QE3(量的緩和策第3弾)の有無に関しては、なお見方が分かれるところだ。仮に今夜(8月3日)の指標が悪い場合でも、9月にFRBがQE3に踏み切るかどうか不透明である。
その最大のネックはやはり政治的な圧力だ。米大統領選の終盤に近づけば近づくほど、タイミングとしては民主党有利、共和党不利になりやすいので、FRBの政治的中立という立場が疑われるリスクがある。
したがって、なおQE3の可能性を示唆し続けているFRBの本意はマーケットに対する「口先介入」にあるだろう。よほど悪い指標が出ない限り、米大統領選以降に行動を起こすことも考えられるのではないかと思う。
しかし、QE3に踏み切らないというFRBの姿勢は米ドル全体にプラスとは一概に言えない。なぜなら、QE3の可能性が残されているうちは、米ドルの圧迫要素となり続けるからである。これはドルインデックスの頭を抑え込む要素の1つと思われる。
(出所:米国FXCM)
■米国の「財政の崖」が世界経済に大打撃を与える可能性
その上、米ドルサイドのリスクとして、年後半に入ってから米財政問題が大きく浮上してくるだろう。8月2日(木)のIMF(国際通貨基金)の指摘どおり、2013年度の米予算見通しは極めて不透明であり、米国の「財政の崖」が世界経済に大きな打撃を与えるかもしれない。
米議会は問題を先送りし、いまだに2013年の減税失効など「財政の崖」を解決できずにいる。米議会予算局の統計は、同問題を解決しなければ、米国は2013年前半に景気後退に陥るリスクが大きいと語る。
実際、今回の選挙結果がどうであれ、米議会による早期解決は難しいとみられる。バーナンキ議長も重ねて懸念を表明してきたように、本当は米財政問題がもたらす景気後退のリスクは無視できず、金融政策だけで解決を図るには限界があるということだ。
米財政問題を含め、米国サイドのリスクは結局、米ドルのリスク回避先としての地位を固め、米ドルは逆に買われるということが2011年にもあった。こういった局面の再来も想定しなければならないが、現在の状況を考えると、それは恐らくそう簡単にはいかないと思う。このあたりの話はまた続く。
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