今週(7月30日~)はイベントが目白押しだ。8月1日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)に続き、8月2日(木)にはBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])のMPC(金融政策委員会)、ECB(欧州中央銀行)の政策金利決定があった。
そして本日(8月3日)は米雇用統計だ。
■ユーロに対する「失望売り」は当然の成行だったが…
一言で総括すれば、注目されたFOMCとECBの決定は「様子見」で、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長とドラギECB総裁はともに有言実行できなかった。
政策の余地を常に残すことに腐心してきたバーナンキ議長と比べ、ドラギ総裁のほうがより失点が多いとみられる。何しろ、先週(7月23日~)、ドラギ総裁は「ユーロを守る」と誓ったばかりだったのだ。
【参考記事】
●ドラギ総裁発言でユーロが激しく上昇!平凡な発言内容になぜ激しく反応した?(7月27日、陳満咲杜)
一方、矛盾しているように聞こえるが、マーケットは最初からドラギ総裁の話に懐疑的であったにもかかわらず、期待ばかりを寄せていた。
先週(7月23日~)のユーロ切り返しや8月2日(木)にECB金利据え置きを発表した直後のユーロ上昇はその表れだったと思う。
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換言すれば、マーケットはドラギ総裁の行動力、指導力には懐疑的であったが、投機的なポジションを取っていた。したがって、8月2日(木)の波乱およびユーロに対する「失望売り」も当然の成り行きであった。
もっとも、ドイツの反対があっては、ECB総裁といえども、いかなる「非常手段」も安易に取れるわけでないことはよく知られている。また、国債購入計画を進めるには準備も必要だ。
実際、「9月からECBがスペイン、イタリア国債買い入れを行うだろう」といった観測も根強く、タイムラグがあるとはいえ、一概にドラギ総裁が失言したと判断するのは性急であろう。
その上、今回ドラギ総裁の話に新味があったことも見逃せない。ECBによる関係国の国債買い入れ計画に関する大まかな進行図が提示されたので、これはプロセスが一歩前進したことになろう。
■マーケットの予想以上にECBは大胆な政策を準備している
そのうち、重要なポイントは以下の2点である。
まず、ECBは欧州の救援機関、すなわち、EFSF(欧州金融安定ファシリティー)やESM(欧州安定メカニズム)のみと協力し、マーケットへの介入を行うつもりであること。
次に、投資家に対するECBの優先弁済権問題が解決されるだろうという示唆である。
前者は、国債買い入れに付加条件をつけることで拘束力を持たせ、政治家たちの口約束に依存しなくなることを意味する。
また、後者は、従来の国債買い入れ計画(SMP)の限界(=ギリシャ国債損失の負担)を突破しようとするものだ。
詳細が不明なので、断定するには時期尚早だが、本当はマーケットの予想以上に…
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