■ドラギ総裁の発言でユーロ/米ドルは1.2390ドルまで急騰
みなさん、こんにちは。
前回のコラムでユーロ反発の可能性をご紹介しましたが、その当日、ユーロ/米ドルが急反発。
【参考記事】
●QE3観測で上値の重い米ドル/円だが、76円台に入れば実弾介入の可能性高まる(7月26日、西原宏一)
きっかけは、ドラギ総裁の下記のコメント。
「Believe me. It will be enough. Do whatever it takes to preserve the euro」(信じてくれ。十分な対応となる。ユーロを守るためにはできうることはすべてする)
この発言により、7月26日(木)のユーロ/米ドルは一気に1.2390ドルまで急騰。
しかし、ユーロの反発時には中長期プレイヤーから断続的なユーロ売りが持ち込まれ、1週間経った8月2日(木)時点でも、1.2390ドルの高値を更新することなく反落しています。
(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
一方、ドラギ総裁のコメントは株高を誘因し、リスクアセットの豪ドルが上昇。
結果、ユーロ/英ポンドやユーロ/円の反発を横目に、ユーロ/豪ドルは8月2日(木)時点でも1.16ドル台後半とユーロ安値圏で推移しており、他のユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)と比較しても、ユーロ/豪ドルの上値は依然として限定的に推移しています。
(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/豪ドル 4時間足)
■SNBのユーロ売りがウワサされ、ユーロの上値は重たい
ユーロの上値を抑えている要因の1つが7月31日(火)に発表されたSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の外貨準備に関するレポートです。
ユーロクロスが続落する中、唯一下落が停止しているのがユーロ/スイスフラン。
もう何カ月にも渡って1.2010フラン近辺で膠着している要因は、SNBの介入にあります。
SNBは1.2000フランを死守するために、ユーロ/スイスフランの介入(ユーロ買い・スイスフラン売り)を長期間に渡って行っていると観測されます。
(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 日足)
そのため、外貨準備に占めるユーロの比率が上昇しました。
その膨れ上がったユーロのリスクを避けるため、SNBはそのユーロを豪ドルや、円、そしてデンマーククローナなどに分散している模様。
そのため、ECB(欧州中央銀行)総裁のコメントにも関わらず、ユーロ/米ドル、ユーロクロスの上昇は緩慢。
確かに7月20日(金)にユーロ/米ドルが急落した際、マーケットではSNBがユーロ/米ドルを売っているというウワサが流れ、ユーロ/米ドルの下落を加速させた要因となっています。
そのため、本日8月2日(木)も仮にユーロ/米ドルが1.2400ドルに接近すれば、SNBがユーロ米/ドルを売ってくるのではないかとのウワサもマーケットに流れており、SNBの動向にも注目が集まっています。
ともあれ…
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