昨日の海外市場では欧州の信用不安が増大して始まった。ドイツやフィンランド、オランダなどがESMから銀行救済を行う際には、もっときつい条件を付けるべきだということで合意したことに加え、スペインでのデモの暴徒化が映像となって世界に流れた。スペインでは財政緊縮の一環として公務員の給与削減などが求められている。
しかもカタロニア州が中央政府に支援を仰ぐ方向で検討中だとも伝わっていた。カタロニアだけでスペイン全体のうちのGDPの2割以上もあるので、それだけ国にとしてのダメージは大きい。また支援が上手く得られないならば、独立もしかねない雰囲気でもあるとも言う。そうした中、スペインの長期債は売り込まれ、10年債の利回りは再び6.0%の大台を越えてきて、危険水域に突入した。
欧州市場での不安増大は即座にリスク回避につながる。欧州株の下落にともなってグローベックスでの米国株も下げ足を速め、ユーロドルは1.28台の戻へ。ユーロ円も100円の大台を切ってきた。ユーロが全面安のまま、米国市場も暗いムードでスタート。ニューヨーク市場での注目は、原油の在庫報告だった。
最近はだいぶ原油のダブつき感が強まっている。今回も予想よりも多めの在庫量が確認されると、どうしてもポジション調整も巻き込んで原油安が進むことになる。とくに90ドルの大台割れは大量の売りのストップ注文のあるべきところだろう。原油安が進むとリスクオフの状態を促進させるので、株安やユーロ安をもたらすことになる。
私としてもユーロ売りを決断すべき契機となるはずだ。ここでユーロドルがもうひと押しすれば、月初の雇用統計の直前のレベルである1.27台の前半まで見通せる。しかし原油在庫の結果は予想と反対に、在庫量が減少していたのだが、このデータでは相場は動かなかった。
むしろ欧州の信用不安によってスペイン債の利回りは上昇し、10年債の利回りは再び6.0%台へ上がってきた。これによって米国株の下げがきつくなり、自然とマーケット全体がリスク回避の向かうこととなった。リスクに敏感な面が強く出て、原油価格は90ドルの大台も割り込んできた。
ユーロは欧州時間でたくさん売り込まれたせいか、まったく反応しない。下がらないのだ。欧州時間での安値を数ポイント更新するにはしたのだが、1.2835まで。ちょっと破壊力が足りない~。ドル円はいつ見ても同じレートでやっており、まったく動かない。
昨日のニューヨーク市場では米国株も安値圏で終了したので、アジア時間になってもリスクオフが顕在化すると思われたのだが、日本株もグローベックスの米国株も堅調だ。昨日、下げて2000の大台を割り込み、話題となった中国株がそれほども下げていないからだろう。
安心感からという消極的な理由によるものだが、ユーロも売りの手も薄かった。アジア時間では手を出すのをやめて、欧州時間での株価動向をウオッチしてからにすることに。これまで連日のように年初来の高値を更新してきていた欧州株も、大きく下げを演じてくるようならば、それだけで思い切ってユーロ売りに励んでいけるのだが。
今晩はアメリカの指標では、GDPのファイナルや耐久財などがあるが、失業保険の方が相場を左右しそうだ。昨日、エバンス総裁が雇用回復の状態の説明として、ペイロールの20万人増が数四半期続けて出ることと、失業率が8%を下回ることなどを上げたが、やはりアメリカの国是である完全雇用を標榜している姿勢が鮮明となったからでもある。
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