昨日の欧州市場では、その前日にリード院内総務が財政の崖に対して悲観的な話をしていたこともあり、ややリスク回避の動きが強まって始まった。アジア時間を通じてもドル円は81円台の後半で定着しており、なかなか82円台に戻すような雰囲気ではない。
ドル円が安いには安いのだが、ちょっと動きが足りなさ過ぎて、無理して売り込んでいくという気にもなれない。一方でユーロドルもやや重たくて、1.29台の前半で張り付いており、いつ1.28台に沈み込んでもおかしくはない状況だった。
値幅が小さいし、相場の動きに勢いというものがないので、私もユーロドルをチョコチョコと売ったりしているのだが、どうも5ポイントくらいしか取れない。すぐに戻ってきたりするのだ。安心してユーロショートで構えている事もできない。外部環境的にはグローベックスでの米国株は重さを増している。日経先物もナイトセッションで8200円台の中盤まで差し込んでいる。
リスク回避に走ってもいいだけの十分な根拠があるというのに、ユーロドルは1.28台には入りはしたものの、急激に30ポイントほども急落すると言う局面はまったくなかった。ジワジワとオファーがかぶさってくるといった感じで、安値をたたいてまで売ってくるという状態ではなかった。5ポイントしか取れないのであれば、まったく取っているリスクにリターンが見合わないというもの。
あまり面白くなかったので私は早めに寝たが、朝に画面を見て見ると米国株は切り返して大きく上昇していた。ベージュブックとかでは極端な景気改善を示されるわけもないので、きっとまた何か突飛な発言でもあったのだろうと思った。調べて見ると、前日のリード院内総務とはうって変わって、ベイナー下院議長が財政問題の解決に向けてかなり楽観的な見解を示したようだ。
私としては議長よりも総務の言っていることのほうが言葉の重みが圧倒的に大きいとは思うのだが、マーケットはそれだけ安心感が欲しかったのだろう。値幅は小さいものの、リスクテークに反応した形で円安も進んでいた。
そして今朝の8時半過ぎに再び安倍総裁が吠えた。「無制限に緩和を」という内容の発言をして、円売りを誘った。ニューヨーク市場でだいぶ円売りに傾いていたこともあって、円相場は簡単に円安に振れた。ドル円は82円台にまで戻しきった。しかし以前までのように大幅上昇するには至っていない。
東京市場の午後2時にグローベックスの米国株が急上昇した。昨日の高値を越えてきてのロスカットの連発だったのだろうが、それによって日本株も一段高。日経先物は昨日の安値である9210円からおよそ200円幅の上昇を見ることになって、ドル円を買おうと思っていたプレーヤーにとっては実に買いやすい状況になった。しかし82.20あたりがどうにも突破できず、ちょっとモタついている感じだ。私も82.30を越えてきたらドル円のロングで攻めてみようと身構えていたが、ダメだった。
今晩はGDPの改定値くらいしかイベントがない。昨日と同じく要人発言に注意。そしてそれにともなっての米国株の動向をケアする必要がある。財政の崖の問題については、人によって言うことが違うので、株価などリスク資産の価格を追って測るしかない。昨日の米国株の切り返しが本物かどうか。それを見極めないとドル円やユーロ円の上値追いはできない。
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